KDDIは3月23日、日本の民間月面探査チーム「HAKUTO(ハクト)」とオフィシャルパートナー契約を締結したと発表した。通信技術やその知見を活用して、HAKUTOの月面探査ロボット「ローバー」の通信システムを共同開発し、世界初の民間による月面探査に挑戦する。
HAKUTOは、ispaceが運営する、ロボット月面探査レース「Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルナ・エックスプライズ)」に挑戦する民間の月面探査チーム。
Google Lunar XPRIZEとは、Googleがスポンサーとなり、XPRIZE財団によって運営される、民間組織による月面無人探査を競う総額3000万ドルの国際賞金レース。同レースは、民間宇宙開発を加速させ、宇宙産業の拡大、市場への投資を促進し、中長期的に繰り返し月面にロボットを送り込めるビジネスの育成を目的として開催される。
ミッションは、月面に純民間開発の無人探査機を着陸させ、着陸地点から500m以上走行し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。1位のチームには賞金2000万ドル、2位のチームには賞金500万ドルが与えられる。現在、世界各国から16チームが参加している。
HAKUTOは現在、これまで開発してきたローバーの改善を重ね、月面探査を成し遂げるためのフライトモデルの開発を進めている。
月面におけるミッションの遂行は、地球からの遠隔操作で行われるため、探査の成功を握るのが「通信」だという。HAKUTOは、月面における通信に、地上のモバイルデータ通信に使われている周波数帯を採用することを検討。これは世界でも初めての試みであり、地上で培われてきた民生技術を宇宙探査へと展開する大きな一歩だという。この世界初となるHAKUTOの試みを、KDDIは無線技術などでサポートする。
KDDIとHAKUTOは今後、Google Lunar XPRIZEのミッションの1つである月面を撮影した高解像度の動画、静止画データ送信において、KDDIが持っている知見をもとに最適な圧縮技術の検討を進めていくほか、現在開発中のローバーのフライトモデルの検証試験などを共同で実施する予定だ。
オフィシャルパートナー契約締結について、KDDIの代表取締役社長である田中孝司氏は「月面は地球上とは大きく環境も異なり、我々が担う通信においても様々な困難が予想されます。KDDIは、これまで培ってきた技術や経験を最大限提供し、本ミッションを強力にサポートしていきたいと思います。今回の経験が、近い将来新しい宇宙・通信技術の発展につながる第一歩になることを期待しています」とコメントしている。
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