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支援する「囲い」と支援されたい少年配信者たち - (page 2)

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支援されて高校中退を考える高校生ゲーマー

 囲いに支援されるのは、生放送配信者だけではない。最近、プロゲーマー志望の男子高生が「退学届を出す」と、退学届の写真付きでツイートし、話題となった。男子高生は、エレクトロニック・アーツのシューティングゲームで4度優勝経験のあるチームに所属しており、プロゲーマーに才能を見込まれるほどの腕だという。

 退学する理由は、「勉強もしないし、学校にも行かないし、行く気にもどうしてもならないので」というものだ。退学という事態の重さと、退学届の写真付きツイートという軽さに違和感を覚える。それに対して、「高校を卒業していないと後々苦労する」と、人生の先輩達がTwitter上でいさめる場面もあった。

 男子高生はファンを多数抱えており、やはり金銭的な支援を受けていたようだ。あるファンなどは、Twitterアカウント名を「○○(男子高生名)ファン」としており、金銭的な支援もしていた。Twitterで支援者が公開したところによると、LINEでつながり振込先を聞くなどして振り込んだようだ。

 元は男子高生を応援していたプロゲーマーも、イジメられてるわけでも他に目標があるわけでもなく、ただ面倒くさい一心で高校を辞めるという、いい加減な態度に激怒。さらに、「仕事もバイトもしたことがない子どもに、万単位のお金で餌付けして学校を辞めさせる」囲いの大人に対して、憤りを感じていたようだ。

 高校生では、先のことなど中々考えられないのも当然だ。ファンがいて金銭的支援もあるのであれば、高校生にとってすでに自分は肯定されている状態だ。楽をして暮らしていけるのであれば、そちらに流れてしまうことは十分に考えられる。少年たちが支援によってそのような行動を駆り立てられたことは間違いなく、中には意図的にそのような行動を取らせようとしている者たちもいるようだ。

 配信者の中には、支援で生活している人もいると聞く。10代の子ども達は生活には困らないため、支援金を趣味や配信を過激化させるために使っていたと考えられる。

 彼らが、周囲が自分の行動に金銭を支払ってくれる仕組みを作れるまでいくのであれば、ある意味ありなのかもしれない。しかし、その場合も支援者たちが永続的に支払い続けてくれる保証はなく、いつも先のことを考えておく必要がある。そのようなことができない高校生に、お小遣いを渡して高校を辞めさせたり、逮捕につながる行動に走らせたりすることが大人として正しいことだろうか。

 本当の問題は、承認欲求に飢えた10代の若者たちを、どうやって周囲の無責任な悪意から守るかということだ。保護者は、子どもが小遣いの範囲で買えないものを持っていたら、他の人物の介在を疑う必要があるかもしれない。その上で、子ども達が周囲の悪意のいいなりになって愚かな行動を取らないよう、指導する必要があるだろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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