1月28~30日の3日間に開かれたショーには、ドローンを開発・生産する韓国内の合計56の企業、大学、研究機関、自治体などが参加した。大韓航空、ハンファといった韓国を代表する企業はさることながら、大学の学部や研究室、地方の中小企業の参加も目立った。
筆者が会場に足を運んだ日は最終日。また、冬休み最後の週末(韓国の冬期休暇は12月下旬~1月末の1カ月間)ということもあり、多くの家族連れであふれ大盛況だった。会場の一角では、子ども向けのドローンの講義やシミュレーションができるコーナーに長蛇の列ができ、会場のコンベンションセンターと隣接する広場では、ドローンレースなどのイベントも開催され盛り上がりを見せた。
今回のショーで展示されたドローンの特徴としては、「軍事」「災難救助」「SWAT(特殊部隊)」「農漁業」といった多分野において活用できるドローンの開発に国と軍、企業が一体となって取り組み、海外への売り込みに活路を見出しているという点が挙げられる。
たとえば、大韓航空は韓国空軍と共同でヘリ型ドローンの開発を進め、軍事や緊急災害時活動の兼用を目指しているという。KUS-VHというモデルのヘリ型ドローンはひときわ目をひいていた。
また、韓国の財閥企業の1つであるハンファグループは、もともと火薬を製造する会社で化学や建設業がメインであったが、新たにドローン産業にも参入。「追跡」や「偵察」といった軍や警察(特殊部隊)での活用を主として売り込んでいる。このほか、「エコ」をキーワードとし、太陽電池によって飛行、高度1万メートルまで上昇が可能な韓国航空宇宙研究院の大型ドローンなども出展された。
普段、私たちが目にし、認識しているドローンといえば小型のものがほとんどだ。このようなショーで規模や形態、使用目的もさまざまなモデルのドローンを一同に見ることができたのは、世間にドローンの認識を広める上で絶好の機会だったのではないだろうか。
今回のドローンショーの成功を受け、釜山市は2月末に「ドローン政策討論会」を開催。釜山市議会議員が中心となり、韓国内のドローンの有識者を集めて、今後のドローン産業のビジョンについて話しあった。討論会の中では「活用と法の整備」「技術開発の向上」「産業環境の整備」といった主題が取り上げられという。
自治体を挙げてのドローン産業のバックアップによって、韓国のドローン市場がどのような成長を遂げていくのか、動向に注目したい。
(編集協力:岡徳之)
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