富山県南砺市は、配車アプリ「Uber」を提供するUber Japanと進める予定だった、市民ドライバーの自家用車による無料送迎の実証実験を、当面見送ることを明らかにした。両者は2月26日に記者会見を開き、協定を大々的に発表したばかり。
南砺市では、高齢化・過疎化が進む中、南砺市営バス(愛称:なんバス)を運行したり、一部地域でオンデマンド運行を実施したりするなど、地域住民の移動ニーズに応えてきたという。しかし、既存サービスだけでは公共交通の利便性に関する満足度が高いとは言えない状況にあり、採算性にも課題があったそうだ。
そこで、ドライバーと乗客をマッチングするUberと組み、これらの課題の解決を目指すとしていた。協定会見では、事前に国土交通省や市内のタクシー会社にも実証実験の内容を伝えていると説明していたが、「民間や市営のバス、タクシーとも効率的に結びつけて、交通弱者の利便性をいかに深めるかという議論が足りなかった」と、南砺市 地方創生推進課 交通政策係の担当者は語る。
南砺市は、実証実験に向けて3月の補正予算案に計上していた事業費400万円を取り下げたが、「実験自体を見送るわけではなく、改めて検討する」(地方創生推進課)としている。また、Uber Japanの広報担当者も「南砺市と今後も協議を続けていく」と前向きな姿勢を見せた。
Uberをはじめとする、いわゆるライドシェアサービスを巡っては、政府が条件付きで合法化する方針を示していることから、全国のタクシー事業者が猛反発している。3月8日には、東京・日比谷公園に全国から約2500人のタクシー運転手が集まり、「白タク反対」と書かれたハチマキを頭に巻いて訴えた。
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