CNET Japan Live 2016

中国からの“爆買い”の流れも--インターリンクが語る、ドメインビジネスの最前線

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 朝日インタラクティブは2月18日、東京オリンピックが開催される2020年を契機として各産業や業界がテクノロジによってどのようなパラダイムシフトを遂げるのか、2020年以降の未来に向けてどのようなイノベーションが世の中を変革させていくのかを考えるイベント「CNET Japan Live 2016 Target 2020~テクノロジーがもたらすパラダイムシフト~」を開催。

 展示会場で開催されたミニセッションでは、インターネットドメインの管理、販売事業を展開するインターリンクでシニアアカウントマネージャーを務める横山綾子氏が、「あなたの知らないドメインビジネスの世界 -2020年に向けて-」と題したプレゼンテーションを行った。

インターリンクでシニアアカウントマネージャーを務める横山綾子氏
インターリンクでシニアアカウントマネージャーを務める横山綾子氏

ウェブサイトURLの選択肢を広げた“新gTLD”の誕生

 インターリンクは、2006年にドメインを管理する国際組織ICANNの認定レジストラ(ドメイン販売事業者)を取得し、同社が運営するドメイン取得サービス「ゴンベエドメイン」では、1000種類以上のドメインについてオンライン申請に対応。また、2014年にはトップレベルドメインを管理するレジストリ(ドメイン管理事業者)として、「.moe」「.osaka」「.earth」の運営を行っている。

 かつて、インターネットアドレス(URL)の末尾に記載される一般トップレベルドメイン(gTLD)は「.com」「.net」「.org」など22種類のみが存在していたが、2011年に自由化が開始されて、申請者が希望した任意の文字列によるさまざまな”新gTLD”が誕生した。申請は、インターリンクをはじめICANNの基準をクリアした多くの企業に開放されることになった。横山氏によると、2012年の申請受付時には、グローバルで1930件、日本から71件の新gTLDが申請。現在は1221件がgTLDとして認可され、うち913件が運用されているという。中には承認されなかったもの、承認されたが撤退したものなどもあるという。

 横山氏は、「日本から申請された新gTLDのうち、ほとんどは企業名やサービス名をgTLDにした“ブランドTLD(企業TLD)”と呼ばれるもの。これは企業が自社向けに使用するもので一般には使用することができない」と傾向を説明。企業がブランディング目的でgTLDを活用している実態を紹介した。ちなみに、新gTLDの申請にかかる費用は18.5万USドル(現在のレートで約2110万円)、運用費用として年間約1000万円程度のコストが掛かるのだという。

日本から申請された新gTLDの状況
日本から申請された新gTLDの状況

 また横山氏は、こうした新gTLDを利用するメリットとして、ブランドTLDや「.law」「.bank」など特定の企業や業種のみが申請・利用できるgTLDを利用することによって、なりすましやネット犯罪から顧客を守るためのウェブサイトの安全性が担保できる点、社名、サービス名や事業の内容などが伝わりやすい単語のgTLDを利用することによってオンラインブランディングができる点、ウェブサイトのURLを決定する際の選択肢が400種類以上に増加して希望の文字列のURLが取得しやすくなる点や、消費者にとってわかりやすいURLが生成できる点などを挙げた。

 なお、希望した新gTLDが他社と競合した場合にはどうなるのか。横山氏は、「こうした場合には、ICANNによる審査を経てコミュニティ申請が優先されるが、それで解決しない場合には申請者間での交渉によって、金銭的な解決、プライベートオークション、共同運営などの解決方法が決められる。これらの方法で解決しなかった場合には、最終的にはICANNがオークションを開催して運営者を決定する」と説明。ちなみに、あるプライベートオークションでは、落札額のうち数パーセントがオークションを開催したプロバイダに支払われるが、残りの金額は競合に参加した会社に均等に配分されるのだという。実際、オークションに落選したことによって数億円の配当金を得たケースもあるのだそうだ。

ICANNが過去に開催したオークションの入札額
ICANNが過去に開催したオークションの入札額

ドメインビジネスのもうひとつの顔「ドメインセカンダリマーケット」

 ドメインをめぐるビジネスの世界の話として横山氏がもうひとつ紹介したのが、「ドメインセカンダリマーケット」と言われるものだ。これは、人気の単語や文字列のドメインをオークションで売買するというもので、横山氏によると米国で開催された最近のオークションでは、92件のドメインが日本円で総額約1億7500万円という高額で取引されたのだという。過去には、「insurance.com」が約42.5億円という過去最高額で落札されたケースもあるこのこと。また、最近は中国からのドメイン購入が盛んに行われているそうで、ここにも“爆買い”の流れが来ているようだ。ただ横山氏は、「ドメインの価値は変動が激しく、過去に高額で落札されたドメインも、その価値が下がることで売却時に損をするケースもある」と語り、ドメインの売買ビジネスが決して簡単ではないという現状を紹介した。

過去に高額で取引されたドメイン
過去に高額で取引されたドメイン

 最後に横山氏は、これからのドメインビジネスについての展望として、ブランドTLDの運用開始に伴う新gTLDの認知度向上、中国市場の参入による市場活性化、Google、Amazon、Yahoo!などインターネット業界大手の新gTLD事業への参入な どのトピックスを挙げ、「これから2020年に向けてドメイン業界のビジネス機会が拡大していくのではないか」と展望を語った。なお、ICANNに対する次回の新gLTD申請は、2018年頃を予定しているという。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加