ディスカッションの最後に、1つの節目とされる2020年に向けて、ものづくりの世界が今後どのように変わっていくかがテーマに上がった。各登壇者からビジョンや展望が次のように語られ、セッションが締めくくられた。
「ものをつくる人のキャリアは、今よりもすごく変わっていくのを感じている。1つの企業で一生を過ごすのは、日本でももうなくなっていくのではないか。フリーランスやスタートアップなど、もっと自由なかたちで、今までとは違ったものづくりのやり方が生まれていくだろう」(清水氏)。
「テクノロジの業界で来年何が起こっているかはわからない、といつも言っている。ただ、3Dプリントはさまざまなところで当たり前のように見掛けるようになっていくのではないか。ブームではなくなり、普通に浸透していくだろう。エンジニアの世界では自分のキャリアをどうしていくかを考える人が増えて、起業する人がより多く出てくるはず。そういう人が次の日本を作っていくだろうと楽しみにしている」(塩澤氏)。
「3Dプリント技術はもう当たり前になって、見えないところで普通に使われるようになっていくだろう。素材が変わり、たとえばクレープ屋の店の奥に3Dプリンタが使われていたりなど、これまでとは応用例の異なるものが生み出されていくと思う。産業面では、技術全体が小ロットで従来よりも簡単に物が作れる方向に行き、よりニッチでかゆいところに手が届くものが身の回りにあふれてくる、そんな未来になっているような気がする」(岩佐氏)。
「ものづくりの現場は、総合的に見るとマス・カスタマイゼーションに向かうのではないか。多種多様な商品が大量生産ではないかたちで出回っていくと思う。2020年には3Dプリンタは普及はしているだろうが、使っている人材がキーになってくるのではないか。ひとつの領域を極めて、その横にも十分に技術的につながっている“T型人間”のような人材がより必要とされるようになっていくだろう。素材に関しては、3Dプリンタの材料技術の特許は日本がトップで進んでいる。IoTなどの分野とは別に、3Dプリンタ本体以外の材料技術などを地道に開発し、テクノロジを推し進めていく必要がある」(原氏)。
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