Appleと米連邦捜査局(FBI)の論争に関して、新たにある人物が意見を表明した。それはほかでもない、米国家安全保障局(NSA)の監視活動を内部告発したEdward Snowden氏だ。
Snowden氏の結論は、テロリストが使用した「iPhone」のセキュリティ設定を回避できるのはAppleしかないとするFBIの主張は、偽りだというものだ。
「FBIは、Appleがこの携帯電話内の情報にアクセスできる『独占的な技術手段』を持っていると述べている」と、Snowden氏は米国時間3月8日に語った。
その上でSnowden氏は、丁寧とは言えない表現を使って、FBIの主張は偽りだと述べた。「謹んで申し上げるが、あれはどうしようもないでたらめだ」
NSAの元契約職員で、米国を逃れて今はロシアで生活しているSnowden氏は、権利擁護団体のCommon CauseがワシントンDCで開催したカンファレンスに、モスクワからのビデオ中継を通じて参加し、これらの発言を行った。
かつて米国と英国の大規模な盗聴プログラムの詳細な内容を世界に暴露したSnowden氏は、議論を呼ぶ存在ではあるものの、その発言には今でも影響力がある。今回、発言の矛先をFBIに向けた同氏は、自らの技術的能力について完全なうそを述べているとして、FBIを非難した。
FBIは、Appleによって実装されている保護機能を自力では突破できないと述べており、銃撃事件を起こしたSyed Farook容疑者が使っていた「iPhone 5c」は、カリフォルニア州サンバーナーディーノで14名が死亡し、22名が負傷した12月の銃乱射事件の捜査に欠かせないものだと主張している。
一方のSnowden氏は、自らの発言を裏付ける形で、アメリカ自由人権協会(ACLU)のブログ記事へのリンクをツイートした。この記事の主張は、FBIがiPhone内の情報にアクセスできる能力を持っていないように見せかけて、裁判所や世論を欺こうとしているというものだ。記事を執筆したACLUのテクノロジフェロー、Daniel Kahn Gilmor氏は、Appleに対するFBIの要請を「権力掌握術だ」と述べている。
「FBIは、この件を1人のテロリストが使った1台の携帯電話に関する話だとわれわれに思わせようとしている」とGilmor氏は書いている。だが実際には、これは「あまりにも脆弱なデバイスを管理するためにわれわれの誰もが依拠せざるを得ないエコシステムを弱体化」させようとする試みであり、今後のソフトウェアアップデートを「意図的に弱みを作ったコード」を含むものにするのが狙いだと、同氏は主張している。
同氏はまた、このブログ記事で、FBIがAppleに対して無効にするよう要求している「自動消去」機能について、FBIが誤った情報を流していると主張し、この機能をFBIが回避するために使用できる手法を説明している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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