logo
CNET Japan Live 2016

シェアリング・オンデマンドエコノミーで世の中は変わるのか--事業者3社が議論 - (page 2)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

全く新しいサービスをどう普及させるか

 このような新たな分野のサービスは、その有効性や利便性が一般に十分に浸透していないことから、「どう認知させ、普及させるか」が一番の課題となる。また、ノウハウを蓄積している段階では、個人間の取引ということもありトラブルが発生しやすいとも考えられる。3社はそれらの課題に対してどう取り組んでいるのか。

 重松氏は、スペースマーケットでは認知拡大のため「PRのレバレッジを効かせている」と話す。一風変わった場所がこれまでになかった目的で用いられるという“絵面”がユニークであるため、TVなどのメディアに取り上げられやすいこと。それを元に拡散しやすいという有利な部分もあるという。登録されているスペースは4800件を超えており、利用者も伸びている状況だ。

スペースマーケットの実績(同社作成)
スペースマーケットの実績(同社作成)

 とはいえ、成長とともに備品の損傷や近隣トラブルなどの問題もいくつか発生し始めているそうだ。これらのトラブルの事前対策としては、提供する側と利用する側が互いにコミュニケーションを十分に取ることが重要だとし、「不安に感じる利用者(の申し込み)は断ることも考えてほしい」と重松氏。募集要項で東証一部上場企業に限定したり、一定の倫理観を持ち合わせているであろう職種の人にのみ許可するなど、「ハードルを上げるとトラブルが少ない」とも話した。

 カーシェアリングサービスのAnycaは、主な利用者が経済合理性の働く高所得者層としているが、事故や破損、汚損などの可能性が伴うこともあり、提供する側と利用する側の双方にとって「初回利用のハードルが特に高い」と大見氏は感じている。こうした中で認知を広げるには、口コミの活用が重要であると考えており、「口コミを複数のソースから聞くと一気に信頼度が上がる。そのタイミングをどう前にもっていけるか」が課題だと述べた。

Anycaの利用イメージ
Anycaの利用イメージ

 また、Anycaでは事故に備えて必ず保険に加入する仕組みとなっている。保証内容も、保険会社と協力してカーシェアリングサービスに合ったものに最適化するなど、ユーザーの利用時の不安を低減する工夫を施しているという。クルマの受け渡しにかかる手間も大きいことから、スマートフォンからクルマの鍵の開け閉めが可能なスマートキーデバイスを開発中。さらに、クルマの受け渡しの場所として、タイミングによっては遊休スペースとしても使えるガソリンスタンドや、カーディーラーの敷地などの活用も検討しているとした。

 ダフルの塚本氏からは、認知・普及のさせ方を一歩進め、サービスを広く浸透させるための基礎的なノウハウが語られた。まず、同氏の同僚がオンデマンドエコノミーを始めとするさまざまなサービスを駆使して、数時間分の家事に必要な自身の負担を、3分に縮めるライフスタイルを実践している例を紹介。金額としては1日30ドル程度だという。

オンデマンドエコノミーサービスによって、数時間分の家事に必要な自身の負担を、3分に縮めるライフスタイル
オンデマンドエコノミーサービスによって、数時間分の家事に必要な自身の負担を、3分に縮めるライフスタイル

 このように、頻繁に利用される状況も想定した場合、「シンプルでないと成功しない」と塚本氏は説く。シェアリングエコノミーやオンデマンドエコノミーにおいては、消費者のデマンド(要求レベル)が高いことから、「UIの部分が勝負になってくるのではないか」と語り、DUFLでもシンプルかつ必要十分なUI設計の実現に注力していると説明した。

2020年はシェアが“当たり前”になっている?

 最後に、東京オリンピックが開催される2020年を見据えた、シェアリングエコノミーとオンデマンドエコノミーの将来像について語られた。重松氏はスペースマーケットを創業した約2年前には、民泊事業が日本で可能になるとは「夢にも思っていなかった」と明かし、4年後の2020年にはより多くのものがシェアできるようになっていると予測する。「会社の会議室やセミナールームもじゃんじゃんシェアされたり、個人のスペースもシェアできたりする時代になっているのでは」(重松氏)。

 また、シェアリングエコノミー協会の代表理事も務める同氏は、多くのシェアリングエコノミーが備えるレビュー機能によって、ユーザーの裾野拡大やリピート利用につながる好循環が生まれているとも話す。「知らない人の家に入ること自体、日本人は嫌がるが、シェアハウスに住んでいる若者がどんどん増えて、価値観が変わってきているなという実感がある」と続け、2020年にはこうした考え方は一般的なものになると期待した。

DeNA オートモーティブ事業部 カーシェアリンググループ 大見周平氏
DeNA オートモーティブ事業部 カーシェアリンググループ 大見周平氏

 大見氏は、東京オリンピックという節目に向け、法律面の急速な調整が「エンドユーザーを置き去りにしている気がする」との懸念を抱きつつ、それでも2020年以降の“潮目の変化”に期待している1人だ。「カーシェアを前提にしたオートローン商品を作って、収益がローン返済に充当されていくようなサービス」なども、クルマの販売店などと共同で検討を進めているそうだ。「業界を巻き込んでグローバルにも第一歩を踏み込めば、交通領域のシェアリングエコノミーも盛り上がってくるのでは」と展望を語った。

 塚本氏は重松氏と同様に、「若い世代のシェアに対しての抵抗感が下がっている」と分析。DUFLでも、預けたものを他のユーザーに貸し出せるようにするシェアリングサービスを計画していることを明かした。「『私は人が着たものは絶対に着たくない』という人でも、ホテルや旅館では部屋に用意された浴衣を着ている」というエピソードで会場の笑いを誘いつつ、マーケティングやコンセプトの設計の仕方によって、それまで本人がナンセンスと感じていたマインドも変えられることを鋭く指摘した。

 DUFLのターゲットは“ヘビートラベラー”というニッチ層だが、塚本氏はDUFLに対応していない国を行き来した際の自身の経験から、「蛇口の水道から井戸には戻れないのと同じように、(クラウドクローゼットがない状況には)戻れない」と、その利便性を強調した。

セッションの様子
セッションの様子

 モデレーターの藤井も、シェアリングエコノミーやオンデマンドエコノミーサービスは、「実際に使ってみないと価値を感じられないところがある。不安もあると思うが、ぜひ体験してみてほしい」と来場者に呼びかけ、セッションを締めくくった。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]