Airbnb Japanは11月26日、米国発の空き部屋シェアサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が、日本に与える経済波及効果の調査結果を発表。Airbnbのコミュニティは、日本に高い経済波及効果や雇用機会を生んでいるとアピールし、民泊に対する早期の法整備を求めた。
Airbnbは、旅行者が現地の人から空き家や使っていない部屋を借りられるサービス。2008年に事業を開始し、現在は190カ国の3万4000都市以上で展開。登録された物件数は200万件に及ぶ。これまでに約6000万人が宿泊しており、2015年の夏だけで過去最大の約1700万人に利用されたという。
Airbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏は、Airbnbの最大の魅力はゲスト(借り主)が、ホスト(貸し主)とコミュニケーションして文化交流をしたり、地元ならではの魅力を発見できるところだと説明。現在はそうした、地元の人々の暮らしを体験したいユーザーも多いため、「(宿泊先の)シャワーの水圧が低かったりしても、嫌とは思わずむしろ満足度の向上につながっている」(田邉氏)と語る。
同日に発表されたAirbnbによる日本への経済波及効果は、2014年7月から2015年6月の1年間にAirbnbを利用した国内での旅行を対象に、早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授率いる研究チームによって算出されたもの。Airbnb アジア太平洋 公共政策ディレクターのマイク・オーギル氏は、Airbnbがもたらす経済、社会、環境への影響を評価した結果、日本経済に年間で2219.9億円の経済波及効果と、2万1791人の雇用機会を生んでいると説明した。
また根来教授は、「日本においては宿泊施設が不足しているのが重要なポイント。もし宿泊施設が日本に沢山あったらAirbnbの経済効果があったとしても、ホテル側の収入が減ってしまい相殺されてしまう。不足している分が真水で効いてくる」とコメント。一方の雇用については、ホストが余暇時間で雇用するため、そこまで大幅な増加は期待できないとした。
日本におけるAirbnbの物件数は2万1000件。ホスト数は2010年から毎年倍以上増えており、全国47都道府県の300都市以上に分布している。また、日本にいる5000人以上のホストが、年間で約52万5000人のゲストを世界中から自宅に迎え入れており、逆に約9万6000人がAirbnbを使って、日本から世界を訪れているという。日本で宿泊するゲストの93%が海外のユーザーで、54%がアジアからの旅行客となっている。
収入面では、過去1年間で毎月約10泊受け入れることで、日本のAirbnbホストは年間平均95万7000円の収入を得ているという。またホストの平均年齢は37歳で、「アート、デザイン、クリエイティブサービス」職種の人が最も多く、定年後のシニア層も5%占めている。最も伸び率が顕著だったのが60歳超の年齢層だったそうだ。
Airbnbを利用するメリットの1つに、通常のホテルよりも安価に宿泊できる物件が多いことが挙げられる。同社によるとその結果、ゲストは1回の旅行につき平均3.8泊滞在し、観光やショッピング費用も平均16万9600円と、一般的な訪日外国人よりも多い傾向が見られたという。さらに、日本に訪れるゲストの69%がリピート客、79%がAirbnbを使ったことで日本を再訪する可能性が高まったと回答したという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」