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「地元を盛り上げたい」念願かなう--Ingress浜松アノマリーを支えた2人のエージェント - (page 2)

別井貴志 (編集部) 井指啓吾 (編集部)2016年03月22日 08時00分

とめ:開拓する楽しみはすごいありました(笑)。人脈をたどれば意外と何とかなったんですよ。東海エリアにFSに詳しそうな人がいて、どうしたらいいのかを聞いたら、コミュニティに入れていただけて、いろいろお教えいただけました。

--「詳しそうな人が東海地方にいる」と知っても、探す行為のモチベーションはどう維持したのでしょう。

ぷらら:最初はただやってみようと思っただけで、本当に大きな壁があったらやめていたかもしれません。

とめ:東海エリアは本当に“イベント過疎地”だったんですよ。アノマリーも東京、京都でやって、次に浜松や静岡で開かれるとは思わないじゃないですか。だから、自分たちでやらなければどうにもならないなと。それがモチベーションになっていました。

--FSの開催が決まってからは、どのようなことに取り組んだのでしょうか。

ぷらら:めちゃくちゃ人が集まったんですよね。最初は70、80人くらい集まればと思っていたところ、ふたを開けたら約180人も来てくれた。名古屋や静岡などからも来てくれていました。

とめ:FSの2日前くらいに喧嘩もしました(笑)。考え方の違いがあって。どうやったら初心者が育つか――レベルを上げるだけでいいのか、コントロールフィールド(CF)の作り方や多重CFの張り方まで教えないと、育てたとは言えないのではないか、と。

 それをどう実現するかについて意見をぶつけ合いました。「多重CFの張り方はこのエリアで教えるべきだ」みたいな感じで。

Resistanceの「ぷらら」さん
Resistanceの「ぷらら」さん

--単純にスコアを競うだけではなくて、参加した初心者に向けて質の高いものでなければ意味がないと。

とめ:そうです。レベル8でやめる人もけっこういたので、そうなると僕らが思い描いていたものと違うかなと。なので、多重CFの張り方くらいは最低限教えられるような内容にしようと考えました。

--FSがあって、今回、浜松でのアノマリーが決まりました。お二人はどのように関わったのですか。

ぷらら:クラスタ(当日にスコアを競うポータルの区画)の範囲を決めたりしました。「いついつまでに決めてね」とNianticから言われて、英語のマニュアルをぽんと渡されて(笑)。

とめ:こんな要件でいいのかな……と思いながら作りました。

--ほかには?

ぷらら:ちょっと、文句が言いたい(笑)。とめさんとも一致している意見です。

 アノマリーでは現地の受付に来ればメダルをもらえるのですが、今までも、グアムからCFを貼る人たちも、申請すればメダルをもらえていました。「こういう人もメダルがもらえる」という説明をNianticが発表していたので、それに従って、コミュニティの代表者らが確認して申請していました。

 今回、その要件として、遠隔での「リチャージ」でもメダルがもらえることになりました。「は?」と。それは確認のしようがない。どうやって確かめたらいいのかをNianticに相談したら、そこは任せると(笑)。

とめ:メダルを渡す点などについてのポリシーが両陣営で異なっていたのも問題です。それによる悲劇も過去に起こっています。

ぷらら:こんなことをした人はメダルが貰えるけど、こういう人は貰えない、というラインがあるのですが、そのラインが各陣営で異なっていました。それにより、「(イベントで何らかのアクションをして)あっちではメダルがもらえるのに、なんでこっちではもらえないのか」と言って揉めたことがあります。

 それで今回、遠隔のリチャージでもメダルがもらえるようになったことで、そのラインが余計にわからなくなった。だから、そのラインだけは両陣営でそろえないと、後で大変なことになると2人で話しました。その基準を決める役割は、私たちが任されています。

 イベントの開催が決まってから約6週間あって、そのうち2週間はリチャージの話だけをしていました(笑)。

とめ:イベントで使った時間の工数を付けていたんですが、ほとんどがリチャージの話し合いでしたね。Nianticは「そういったルールを決める権利もあるんですよ」とよい感じに言われるかもしれませんが、手に余ります(笑)。

ぷらら:矢面なんですよね(笑)。

とめ:ただ、いま考えると面白かったです。責任のある役なんだと実感しました。これがなかったらFSの延長くらいにしか思っていませんでしたが、やっぱりアノマリーはひと味違うと思いました。

Ingressの公式イベント「Obsidian」。Enlightenedの「とめ」さん(左)、Resistanceの「ぷらら」さん。イベント前日の2月26日に浜松市民協働センターで取材、撮影

--今回は参加者数も多そうですし、そうなれば不平不満を訴える声が増えるのは仕方ないことですよね。ただ、当事者のつらさは伝わってきました。

とめ:Niantic、相手陣営に加えて、自陣営との調整もあります。自陣営の中にもいろいろな考え方があるので、みんなが納得する答えを見つけないといけません。

ぷらら:お互いに相談した内容を、それぞれ自陣営に持ち帰って、お互いに炎上するんですよ(笑)。それでまたやり直しになったり。

とめ:何回もありましたね。

--最後に、エージェントとして活動していて、イベントの運営もしている立場から、Ingressの魅力をあらためて教えてください。

ぷらら:言い方は変ですが、政治ゲームというか、イベントを開くための人脈とか、利害がぶつかる話など、人と人とのやりとりがあるところが面白いと思っています。

 今回のアノマリーをするのに、現地の商店街に挨拶をしに回ったりもしました。それも自陣営のなかに顔の利く人がいて、その人に商店街の方たちを紹介していただきました。そのような、人と人とのつながりがあって、世界が広がっていくことが面白いと感じます。

とめ:確かに、たくさんの人と関われる“ソーシャルゲーム”としての面白さがあります。仕事だと、こんなに大きな規模のプロジェクトを任されたことはまだないので、それを作り上げていくのは楽しかったです。

 あとは、Ingressのアイテムのグラフィックが格好よいと思っていて、あの格好よさに惹かれて、自分で3Dプリンタを買って、モデリングをするようになりました。ゲームとしての面白さもそうですが、そのグラフィックの格好よさや、Google+のコミュニティでエージェントが自作作品を紹介しているのを見て、刺激を受けるんですよね。

 僕はIngressを始める前の趣味が「海外ドラマ」で、24時間ずっと見続けるくらいインドアだったんです(笑)。それはそれで刺激がありましたが、Ingressは、より自分を高めてくれるような刺激があります。まさに(Nianticのミッションの1つである)「Adventures on foot」です。

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