三井不動産は2月23日、ベンチャー共創事業「31VENTURES」で、総額50億円のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「31VENTURES Global Innovation Fund 1号」をグローバル・ブレインと共同で設立したと発表した。同社がCVCファンドを設立するのは今回が初めて。同ファンドを通さない直接出資も引き続き実施する計画だ。
運用期間は10年間で、グローバル・ブレインが運営する。投資対象は、日本をはじめ、北米や欧州、イスラエル、アジア諸国の、アーリー期を中心としてシード期からミドル期のスタートアップ。バイオおよび創薬以外の産業セクターで、(1)市場性、(2)革新性、(3)収益性、(4)シナジー、(5)信頼性――を基準に投資判断をするという。
重点投資領域として、不動産、IoT、セキュリティ、環境およびエネルギー、シェアリングエコノミー、ECおよびFinTech、ロボティクス、ライフサイエンスを挙げている。三井不動産のベンチャー共創事業部長である菅原晶氏によれば、年間10億円強のペースでの投資を検討しており、1社に多く投資するよりも、1社1億円ほどの規模で40~50社に投資をすることを考えているという。
三井不動産は20年以上にわたりスタートアップ向けオフィスを関東圏で運営しており、2016年2月時点で、個人と法人をあわせて約330人の利用会員がいるという。4月にはその利用者を集めたコミュニティ「31VENTURES クラブ」を新設し、ビジネスマッチングやコラボレーションが生まれる環境を整える。今後、オフィスや支援サービスも拡張する予定で、2017年度末までに、既存4施設(約1800坪、84室)の2倍の規模にまで広げるとしている。
オフィスの提供に加え、三井不動産は投資先のスタートアップに対して、同社が保有する個人・法人の顧客ネットワークや実証実験の場の提供、マーケティングや販路開拓などのサポートを実施する。また、相談窓口として「コミュニティマネージャー」を配置し、スタートアップのニーズに迅速に応えられるように努める。
同ファンドの設立にあわせて、有望なスタートアップのスピーディな発掘を目的として、外部のVCにも出資した。すでに国内ではJAFCO SV4 ファンド、次世代日本先端技術育成ファンドに出資しており、新たに米国の500 Startups、世界9カ国のVCのネットワークであるDraper Venture Networkの1社であるDraper Nexus enturesが組成するファンドへの戦略的LP出資を実施したという。
同社の取締役で専務執行役員である北原義一氏は「日本は、米国のように失敗をある程度許容し、異端者・異能者を受容する社会に変わっていかなければならない。異端者・異能者は、大学生や起業家らの専売特許ではない。(事業を通じて)大企業を構成する人々の中に潜在的に眠っているベンチャースピリットを覚醒させたい」と意気込みを語った。
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