NTTドコモは2月22日、2月17日にエリクソン・ジャパンとともに神奈川県横須賀市のドコモR&Dセンタで15GHz帯を用いた屋外環境での第5世代移動通信方式通信実験を実施し、受信時最大10Gbpsを超える通信速度の無線データ通信に成功したと発表した。
また、2月21日に同環境で実施したマルチユーザー通信実験では、世界で初めて20Gbpsを超える通信容量の無線データ通信に成功したという。
同社によると、10Gbpsを超える高速通信を実現するには、連続した広い周波数帯域幅の確保に適している高周波数帯の利用が想定されているが、一方で、周波数は高くなるに従って電波の波長は短くなり、遠くまで伝搬しなくなる特性があるため、10Gbpsを超える高速通信では、高周波数帯でより遠方に電波を届かせることが課題であるという。
同屋外実験は、NTTドコモとエリクソン・ジャパンが共同で仕様を策定し、エリクソン・ジャパンが設計、製造した実験用の無線基地局と携帯電話端末に相当する移動局装置を用いて実施された。
基地局アンテナから複数のビームで、それぞれ異なるデータを同時に伝送し、通信速度を向上させる「マルチビームMIMO」を利用することで、10Gbpsを超える無線データ通信を実現。64個のアンテナ素子でビームを作り、電波の放射エリアを特定方向へ集中させる「ビームフォーミング」によって電波をより遠くへ届かせ、これまでの約7倍となる70m以上の距離の端末への10Gbpsを超える通信速度の無線データ通信が実現したという。
さらに、2台の移動局装置を同時接続するマルチユーザー通信実験では、受信時最大20Gbpsを超える通信容量の無線データ通信を実現したという。
なおNTTドコモは、KT、SK TelecomおよびVerizon Communicationsとともに、第5世代移動通信方式実証実験を行っている世界各国の団体や企業の協力を促進し、実証実験の共通の仕様を策定することで、第5世代移動通信方式の開発を効率的に進めていくことを目的とした「5G Open Trial Specification Alliance」の立ち上げに向けて協力していくことに2月22日に合意している。
NTTドコモによると、3GPP(Third Generation Partnership Project)で2018年に仕様が完成予定の第5世代移動通信方式標準化に向け、第5世代移動通信方式に関連する業界の関心は高く、多くの団体や企業が複数の仕様にもとづいて第5世代移動通信方式の実証実験を行っているという。
5G Open Trial Specification Allianceでは、複数存在する実証実験の仕様の共通化を目指しており、通信事業者に限らず、ネットワークベンダー、チップセットベンダー、端末ベンダー、測定器ベンダーなど、さまざまな団体や企業が参加できる開かれた組織をめざし、策定した仕様を公開する方向で検討している。
5G Open Trial Specification Allianceで対象とする5Gの実証実験は、2016年から2018年までに行われるもので、前提となる周波数帯は、6GHz以下の低周波数帯だけでなく、今まで移動通信に使用されていなかった6GHz以上の高周波数帯の双方が対象となる。
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