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デジタルで伸ばすブランド力--三越伊勢丹の挑戦 - (page 2)

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デジタルで深めるアナログ接客

 百貨店では、顧客に徹底的に寄り添ってサポートするお帳場や外商といった仕組みが以前から機能している。また、1年間の販売額が億単位にもなる、エーススタイリストなどと呼ばれる接客力の優れた販売員も存在する。

 顧客との対話で得た趣味や生活に関する情報から潜在ニーズを掘り起こし、顧客自身も気付いていない本質的な需要を顧客へ提示することが、究極のおもてなしだ。おもてなしという行為はアナログ的だが、ITの力を借りれば対面対応の時間を長く取ったり、新たな提案をしたりできるようになる。北川氏は、このようにアナログ活動のメリットをデジタルの接点から深めていくことにも取り組みたいとした。

 さらに、デジタル、特にインターネットに影響された活動として、北川氏はマーケティング最小単位の変化を挙げた。

 インターネット普及前は、顧客の年齢、性別、居住地、家族構成、ライフスタイルなどの属性からペルソナを作り、ペルソナごとにマーケティングしていた。もちろん、この手法は現在も有効であるものの、生身の顧客はペルソナからはみ出る嗜好(しこう)を持っているはずだ。ペルソナによる分析では、このような嗜好にマーケティングできない。これに対し、インターネット普及後は、顧客をペルソナよりも細分化し、マニアックな小さなニーズに訴えかけられるようになったという。

 北川氏が講演で例として出したのが、ハワイアンキルトという趣味。誰もが興味を示すものではなく、1つの店舗でマーケティングしても大した数の顧客にはリーチできないかもしれない。しかし、インターネットを使ってそうしたコミュニティにアクセスすれば、大勢のハワイアンキルト好きとコミュニケーションできるので、高いコンバージョン率が期待される。

 個々の分野の顧客数は少ないとしても、多くの分野にマーケティングできれば収益につながる。こうしたマーケティングを効率よく実行するには、やはりITが必要不可欠だ。

デジタル改革は経営改革そのもの
デジタル改革は経営改革そのもの

さまざまな活動で得た知見をベースにチャレンジを続ける

 既存のブランドや接客能力、専門性、リアル店舗といったメリットをいかしつつ、ITで店舗とECの境をなくそうと、ファッション系オウンドメディア運営、KDDIおよびOrigamiの協力を得て実施した「auスマートパス」会員向けイベントによるモバイルシフト実験、店舗内のビーコンと連携して売場案内をするアプリ「ISETANナビ」、地域情報ウェブメディア「タイムアウト東京」とのコラボ企画など、さまざまな活動を展開してきた。

 期待通りの結果に至らず失敗したプロジェクトは多数あるが、そこから得た知見は今後ECを上手く進める上でのベースとなるという。そして、三越伊勢丹はチャレンジを続けるとした。

 すぐに利益へは結びつかないだろうが、デジタルとファッションの融合を図り、仮想的に試着したようすを確認できるミラー、3Dプリンタで制作したオーナメント付きの服、人工知能(AI)によるコーディネーション提案などにも挑戦している。

 すべては、徹底して顧客に寄り添い、顧客の生涯にわたる豊かな生活作りに貢献したいという「ライフタイムコンシェルジェ」思想へつながっていく。そのために、グループ外部のアセットも利用し、あらゆるサービスやコンテンツを統合する生態系の構築を目指すという。

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