グーグル、“ページ表示が遅い”を解消する「AMP」プロジェクト--7秒が1秒に短縮 - (page 2)

グローバルで約100社以上のパートナーが参加を表明

--現在のAMPプロジェクトへの参加状況を教えてください。

ダンカン・ライト氏:プロジェクトが立ち上がってまだ間もないですが、グローバルで約100社以上のパートナーが参加を表明しています。具体的には、New York TimesやBBCを始めとするパートナーで、日本でも朝日新聞、産経新聞、日刊スポーツ、毎日新聞、イード、マイナビニュース、BLOGOSなど、多くのパートナーがAMPへの対応を準備しています。

現在AMPへの参加を表明している主なパートナー
現在AMPへの参加を表明している主なパートナー

--ニュースサイトが多い印象ですが、どのようなコンテンツがAMPの導入に向いているのでしょう。

ダンカン・ライト氏:静的なコンテンツを掲載しているページが向いているのではないかと思います。一方で、ページ内での入力やJavaScriptによる挙動が必要となる通販サイトなどにはあまり向きません。レシピサイトやブログ、情報サイトなどが向いているのではないでしょうか。

--Google検索は今後対応する予定と聞いていますが、Googleニュースなど他のサービスは対応を予定していますか。

佐藤氏:私たちとしては、まず大手新聞社やニュースサイトなどにパートナーとして参加していただくことをトッププライオリティとして活動していますので、モバイル版GoogleニュースについてはユーザーがAMP対応ページへとアクセスできるよう、なるべく早く対応したいと考えています。

AMPプロジェクトが目指すモバイルウェブの世界

--今後、AMPのプロジェクトはどのように進んでいくのでしょうか。

ダンカン・ライト氏:今回公開した日本語版導入ガイドについては引き続き見直しをしており、随時更新していく予定です。加えて、これまでAMPはGoogleが最低限の仕様の策定や準備をしてきましたが、この一方でTwitterやWordPress向けのAMPの仕様なども提案しています。また、エンジニアコミュニティ「Git Hub」では、AMPの仕様カスタマイズについても随時受け付けており、プロジェクトが定める基準を満たしていれば、カスタマイズされた仕様にも承認を出していく予定です。グローバルでパブリッシャーや広告会社などが参加することで、オープンソースプロジェクトとしてのエコシステムを形成できればと考えています。

今後のプロジェクトについて説明するダンカン・ライト氏
今後のプロジェクトについて説明するダンカン・ライト氏

佐藤氏:今のモバイルウェブが重い要因のひとつである、アナリティクスのツールや広告配信のコードについても、広告会社やツールのベンダー側でAMPに対応してもらったり、Google自身もAMPに対応させたりすることで、マネタイズ、分析、ユーザー体験のバランスの中でAMPが選ばれるようになるのではないかと考えています。

--このプロジェクトが目指すところは何でしょうか。モバイルウェブの閲覧が快適になった先にどのような世界を見ているのでしょうか。

佐藤氏:Googleの立場から申し上げると、ウェブの多様な情報がさらに使いやすい形で、不満なくアクセスできる環境を維持するということは、検索エンジンであるGoogleにとってまさに生命線だと考えています。これが、Googleがこのプロジェクトを推進する最も大きな動機です。

 このままモバイルウェブがどんどん重くなり、モバイルブラウザを使って情報の検索をすることを止めてしまったり、検索結果のリンクをタップすることを躊躇してしまったりするような状況が生まれてしまったら、インターネットそのものの意義が問われることになりかねません。それを抜本的に変革させ、いかにモバイルでインターネットをストレスなく使える環境を生み出すかということはGoogleにとって大きなテーマであり、この課題を解決するためにはオープンソースプロジェクトによる新たな枠組み作りが最良の手段であると考えているのです。

プロジェクトの背景について語る佐藤氏
プロジェクトの背景について語る佐藤氏

--モバイルウェブの快適性は、通信速度、端末スペック、コンテンツのうち、どこかがボトルネックになると損なわれてしまう。かつてはコンテンツが軽くても通信速度がボトルネックとなっていましたが、今となっては通信速度も端末スペックが向上し、逆にコンテンツはどんどん重くなりボトルネックになっていますよね。

佐藤氏:日本の通信環境ですら重いと感じるウェブサイトは、東南アジアなどの新興国に行くとほぼ開くことができません。グローバルで考えると、現在モバイル環境でコンテンツを閲覧するユーザーは新興国で増加している傾向があるため、そうした環境下でコンテンツ閲覧の快適性を提供することは非常に大きな意味があると思います。それは、ビジネスのグローバル化が著しい日本企業にとっても大きな課題ではないでしょうか。

--超低スループット下でも表示できるウェブページを用意するということは、日本国内においても災害時などの情報提供において非常に重要ではないかと思います。たとえば東日本大震災では、多くの人がスマートフォンを通じてニュースサイトなどに情報を求めて通信のひっ迫状態が生まれ、情報の伝達に大きな影響が生まれました。

佐藤氏:何かが起きたときにバックボーンで切り替えれば良いという発想もありますが、それでもいざというときに素早く対応することは難しい面もあるのではないかと思うのです。普段から素早く表示できるページを用意しておくという発想を持つことが理に適っているのではないかと思います。

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