英国の諜報機関である政府通信本部(Government Communications Headquarters:GCHQ)がコンピュータハッキングを実行することは違法にはあたらない、との判断を同国の調査権限審判所(Investigatory Powers Tribunal:IPT)が示した。
コンピュータネットワークの弱点探査活動(CNE)へのGCHQの関与は、米政府機関の元契約職員Edward Snowden氏によって初めて詳細が明らかにされた。
今回IPTに提起された訴訟において、GCHQはコンピュータとネットワークの弱点を利用して「英国内外で」ハッキングを実行していること、また同機関の諜報報告書のおよそ5分の1がハッキング活動によって得られた情報を含むことを認めている。
こうした活動により、GCHQは脆弱性や欠陥を有するほぼすべてのデバイスに侵入することが可能となる。例えばウェブカム、コンピュータ、ファイアウォール、さらには「モノのインターネット」(Internet of Things:IoT)を構成すると考えられる玩具やサーモスタットなどのスマートデバイスだ。
IPTは現地時間2月12日に公開した裁定の中で、GCHQが認めたハッキング活動は「複数の重大な疑問を提起した」としながらも、根拠を示したうえで、GCHQのニーズと公衆の保護の間には「適切なバランス」がとられていると結論付けた。
今回の訴えを起こしたロンドンのプライバシー擁護団体Privacy Internationalの法務担当者Scarlet Kim氏は、同団体は裁定に「失望」しており、これを不服として上訴する意向だと述べている。
「政府にハッキングを許すことは、インターネットの安全性と安定性、およびそこでわれわれがやりとりする情報を危険にさらすものだ」とKim氏は声明で述べている。
「今回の件では、このような秘密の活動に加え、政府がそれを実行する権限をひそかに取り戻すために非民主的な方法を用いたことが明らかになった。政府がハッキングのためのガイドラインを魔法のように紡ぎ出したからといって、この活動を合法とすべきではない」(Kim氏)
GCHQを管轄する英外務大臣のPhilip Hammond氏は今回の裁定を歓迎し、コンピュータネットワークに侵入できることは「われわれが英国民を守る機能において重要な役割を担っている」とBBC Newsに述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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