Appleが1月26日に発表した第1会計四半期決算によると、同社は過去最高の売り上げと利益を記録した。だが、それをけん引するiPhoneの販売台数の伸びは前年同期比でわずか20万台増の7470万台に留まった。
この四半期はクリスマスシーズンである12月を含み、年間を通じて最もスマートフォンが売れる時期だ。Apple自ら「The only thing that's changed is everything」(日本では「唯一変わったのは、そのすべて」)とうたう過去最高の製品であるはずのiPhone 6s/6s Plusが、蓋を開けてみれば前年と販売台数はほとんど変わらないという結果だったのである。
だがスマートフォンの売れ行きの伸び悩みが見られたメーカーはAppleだけではない。中国の新興メーカー、Xiaomi(シャオミ、小米科技)も2015年通年のスマートフォン販売台数は期待した値に達しなかった。Xiaomiのスマートフォン販売台数は2014年に前年比300%増となる6112万台を記録。その勢いを受け2015年は8000万台を販売目標にしたが、結果は7000万台と1000万台のマイナスだった。
実はこの目標値は2015年中に一度下方修正したものであり、同社の顔であるCEOの雷軍(レイ・ジュン)氏の当初目標は1億台だったのである。コストパフォーマンスの高い製品でわずか数年で頭角を現したXiaomiも今、その成長路線に陰りが見えている。
先進国向けにハイエンド端末を売るAppleと、新興国を中心に低価格モデルを販売するXiaomi。この2社が壁に直面しているということは、他のメーカーも同様に今後苦戦が強いられるのだろう。ところが同じ中国でも2015年にスマートフォンの販売数を大きく伸ばしているメーカーがある。
このように書くと、2015年に1億台のスマートフォンを販売し世界シェア3位になったHuaweiの名を思い浮かべる人が多いだろう。同社は2つのブランドでハイエンドからエントリーモデルまで多彩なモデル展開を行い、一昔前のSamsungや2000年代のNokiaのような強さを見せ始めている。
しかし勢いを増しているのはHuaweiだけではない。Xiaomiの後をじわじわと追いあげ、新興市場を中心に存在感を高めているメーカーがある。それが中国のOPPO(オッポ、欧珀移動)だ。
同社の2015年のスマートフォン販売数は5000万台。2014年の数値は明確ではないが、2500万から3000万台と言われており、2015年は販売数を倍にした計算になる。この伸びはXiaomiはもちろんのこと、Huaweiをも抜く勢いだ。ではなぜOPPOのスマートフォンは売れているのだろうか。
OPPOは元々音響製品を手掛けるメーカーだった。そのためスマートフォンも音楽機能を強化した製品が多かった。またポータブル音楽プレーヤーを販売していた2000年代から同社製品のユーザーは若い世代が中心だった。同社のスマートフォンもターゲットは同じ世代で、学生や20代の若者たちが求める機能を強化していったのである。
その代表といえる製品が2013年に発売した「N1」だ。当時としては巨大な5.9インチの大画面ディスプレイの上部に前後回転する高画質カメラを搭載。セルフィー時代に求められる「自分の顔をきれいに写したい」「写した写真を大きい画面で見たい」という要求を大手メーカーより先に実現したスマートフォンだった。
このN1以降、OPPOはカメラに強いスマートフォンメーカーというイメージも強めていった。また金属フレームをボディに採用したモデルを積極的に投入。薄さと剛性を兼ねそろえただけではなく、見た目もスタイリッシュであり、モノとしての完成度も高い。当然価格は高くなるが、その価格に見合うだけの価値のある製品を次々に送り出していったのである。
2014年10月には世界最薄、4.85ミリ厚の「R5」も発表。OPPOの名前を世界中のメディアが一斉に取り上げるほどだった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果