MIT、不揮発性メモリに応用可能な新素材を開発--ストロンチウムとコバルトの酸化物

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、不揮発性メモリに応用可能な新素材を開発した。ストロンチウムとコバルトの酸化物(SrCoOx)で構成された薄膜に微弱な電圧を印加すると、結晶を金属状態と半導体状態のあいだで変化させられるそうだ。各状態は電圧がかからなくなっても維持されるので、1ビットの情報を不揮発に記録できる。

酸素原子の数で状態が決まる(出典:MIT)
酸素原子の数で状態が決まる(出典:MIT)

 この素材を開発したのは、MITで材料科学を研究している助教授のBilge Yildiz氏と大学院生Qiyang Lu氏。Yildiz氏によると、組成や温度、圧力で状態の変わる素材は以前から知られていたが、電気的なバイアスで状態遷移が起こると示せたのは両氏が初めてだそうだ。

 金属状態と半導体状態の相違は、各セルにいくつの酸素原子が含まれるかによって生ずる。状態を変化させるのに必要な電圧は、30mVと高くない。

 一度決まった状態は、再び電圧が印加されるまで維持される。また、2つの状態は化学的、電気的、磁気的、物理的な特性が大きく異なるので、何らかの手段でどちらの状態にあるか検出できれば、不揮発性メモリとして使えることになる。

 研究チームは、コンピュータ用メモリだけでなく、燃料電池、リチウムイオンバッテリ用電極にも応用可能とみている。

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