続いてのテーマは、「スタートアップの記事を書くときに、どういった基準で選んでいるか」というもの。メディア、ライターからのアンケート回答では「新規性」や「起業家が何を考えているのか」といったことが基準になるという答えが寄せられた。
自らも記事を書いて情報を発信するモデレーターの池田氏は、「PRとメディアをうまく区別できないスタートアップがいる」と指摘。これに、TechCrunchのライターでもあったToto氏が「確かにそういう誤解をする人はいる」と同意する。「ライターやジャーナリストが考えているのは読者のこと。読者が何に興味を持っているのか、そういう視点でメディアにアプローチしてみては」(Toto氏)
ポッドキャスターであるRomero氏の考えは、文章で発信する記者とは少し違う。「ポッドキャストは直接本人の声が聞けるメディアなので、人間くさい部分を拾いあげたい」(Romero氏)。ただし、日本人はあまり「人間くさい部分」を出したがらないそうで、そこが課題でもあるのだという。
CNET Japanの藤井氏は、「社会性がどれだけあるか」「多くの人の課題をどう解決できるのか」を見ている。仮に先進的な技術が生まれたとしても、具体的な社会性が見えなければ、技術のみを取り上げることはないのだという。また、CNET Japanでは特に企業規模にこだわっているわけではなく、世の中に価値のある情報だと判断すれば、大手企業でもスタートアップでも等しく紹介する方針だとした。
最後のテーマは、日本のスタートアップ企業へのメッセージ。アンケートで寄せられた中で多かった意見は、「プレスリリースを英語で出してほしい」というもの。これには登壇者全員も同意する。
その一方で、Toto氏は日本企業にありがちな国際化として「外国人を雇って国際ビジネスをすべて担当させること」を挙げ、「それはグローバルではない」と切り捨てる。「誰かを雇ってグローバルな仕事をさせるだけでは完全な縦割りになってしまう。そうではなく、すべてのチームをグローバルにすべき」とコメントした。
続いて、「日本に20年住んでも自分は日本語が完璧ではない」ことから、「英語ができないことは非難できない」と苦笑いするのはRomero氏だ。ただし、グローバル化を目指すなら、言葉ではなく海外市場の知識は必要だと断言。自分たちが海外でどのような価値を生み出せるのかをもっと考えるべきだと語った。
最後にCNET Japanの藤井氏は、「LINE」の海外での成功事例を挙げながら、「米国に進出して失敗する企業も多いが、まずは文化の近いアジア圏から進出してみるのが良いのでは」と考えを述べ、ディスカッションは終了した。
(撮影:津島隆雄)
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