ソフトウェアで世界に挑む--CSAJが支援事業で選んだスタートアップ5社の実力

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Manabelleの仕組み
Scroll Right Scroll Left

Manabelleの仕組み

 一般社団法人のコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)は12月15日、東京・六本木の東京ミッドタウンでイベント「CSAJ Startup Demo Day 1st」を開催。CSAJが2015年度から開始した「CSAJスタートアップ支援事業」の支援先となるスタートアップ企業5社が製品やサービス、事業計画などを発表した。

 CSAJスタートアップ支援事業は、経済産業省の2014年度補正予算採択事業として2015年6月からスタート。選ばれたスタートアップ企業に対して、起業経験を持つ現役経営者などによる経営指導やメンタリング、教育、訓練といった観点から支援するものだ。CSAJスタートアップファンド投資事業有限責任組合を新たに設置し、10億円の出資規模を目標として、出資面でも支援する体制を整えている。

 CSAJは、同支援事業で「ソフトウェアで世界に挑む」をスローガンに掲げており、ソフトウェアを中核とした技術系スタートアップ起業家を支援する制度と位置付けている。

 CSAJ専務理事の前川徹氏は「ソフトウェア分野で成功した起業家、創業者が多数在籍するCSAJの特色を生かし、シリコンバレーのような起業家が起業家を育てるといった好循環を日本に創り出すとともに、世界を変える革新的なソフトウェアを生み出すことを目的にしている」と意義を説明している。

 8月末を期限とした募集で15社の応募があり、9月に開催した第1回投資委員会で5社を選定し、支援先に決定した。その後、約3カ月間の支援プログラムを経て、今回のイベントで投資家などを対象に5社の製品紹介や今後の事業計画などを発表した。

コンピュータソフトウェア協会 会長 荻原紀男氏(豆蔵ホールディングス代表取締役社長)
コンピュータソフトウェア協会 会長 荻原紀男氏(豆蔵ホールディングス代表取締役社長)

 CSAJ会長の荻原紀男氏(豆蔵ホールディングス代表取締役社長)は、「CSAJは30年の歴史を持つ。当初はソフトウェアの知財の保護を目的としていたが、現在では数多くの事業を展開。その事業のひとつとして、今回の支援事業を開始している。私自身も2回ほど潰れそうになった経験があり、ベンチャーキャピタルなどから支援を得た経験もある。各企業には、上場するまできれいごとを言う必要はない。実行することが大切。私も厳しく指導をしていきたい」と説明した。

売上高1兆円を目指す

 CSAJ Startup Demo Day 1stで製品説明や事業計画を発表したのは、Manabelle、Mealthy、eBook Cloud、Bank Invoice、プレミアムアーツの5社。ターゲットとする市場性や中期的な売上計画、起業に必要な資金額などが提示され、会場に参加した投資家などからの質問を受けた。

 Manabelle(マナベル)は、アプリ開発者育成アプリ「Manabelle」を開発。主婦が子育てのスキマ時間を使いながら、アプリ開発を学べ、仕事につなげるように支援する。学習成果を可視化するとともに、仕事のマッチングまで提供するという。

 20~30代の子育て世代の女性を中核ターゲットとしており、マナベルインターン制度やマナベルチーム制度を採用して、働きやすい環境も提案するという。今後4年間で10億円の売上高を目指す。「モバイル教育アプリであれば、マナベルと言われるようになりたい」(代表取締役の小林コトミ氏)

 Mealthy(メルシー)が提供する「Mealthy」は、1タップで徒歩5分以内にある、低カロリーで安価な食事を提供するレストランなどを検索できるサービス。多忙なビジネスパーソンをターゲットにするという。

 「日本には2000万人の糖尿病患者がおり、世界的にも増加傾向にある。おいしいレストランを検索できるものはあるが、健康的な食事を検索できるサービスはない。健康管理に気が回らなかった人たちに健康的な食事の情報を手軽に提供できる。誰もが食事で健康になれる社会を目指す」(代表取締役の鈴木勝之氏)と説明。国立健康・栄養研究所と共同で研究することが決定しているという。3年後に200万人の利用者を目指す計画だ。

 eBook Cloud(イーブッククラウド)は、電子書籍のファイルフォーマット規格「EPUB」のビューアを標準搭載したモバイルコンテンツ管理(MCM)の「カタログクラウド」と、プログラムに関する知識がなくても、アプリを簡単に開発できるクラウドサービス「アプリワン」を開発した。「すべての企業にオリジナルアプリを提供できる環境を作りたい。アプリワンは、MCM搭載の企業宣伝アプリを簡単に誰でも作成できるアプリ。アプリを修正したい場合にも、プログラミングの知識を必要なく、簡単に管理画面からできる」(代表取締役会長で最高経営責任者=CEOの稲垣健二氏)という。

 アプリワンは、ニッセンなどが導入しており、月額9800円からのクラウドサービスとして提供している。2018年には、アプリワンで売上高10億円、カタログクラウドで売上高10億円のほか、電子ブックプラットフォーム事業で10億円の売上高を目指すという。

 Bank Invoiceは、電子取引が可能なクローズド型ビジネスSNS「Bank Invoice」を開発。請求書原本をメールやPDFを使わずにやり取りでき、経理業務の95%を削減できるという。

 「経理作業の繁雑さは紙にある。請求書の原本を郵送するのではなく、電子的に受け取れる仕組みとして、紙をなくすことができ、経理業務の煩雑さをなくすことができる。直感的な操作環境を実現しているのも特徴である」(代表取締役社長の手島太郎氏)

 500枚の伝票の処理に対して150時間かかっていたものが15分間で処理できるようになるという。まずは大手企業を対象に展開。2020年には、請求書に関わる郵送市場の20~50%を獲得し、海外展開を含めて、1兆円の売上高を目指すという。

 プレミアムアーツは、世界唯一とするリアルタイム拡張現実(AR)システム「LiveAR」を開発。実写映像に、3Dキャラクターやエフェクトをリアルタイムで合成でき、ライブイベントからテレビ生放送、サイネージまで対応できるという。

 「2つのコア技術で構成されている。テレビ番組の生CMでもキャラクターを登場させられる。将来的にはバーチャルライブで展開し、スマホやヘッドマウントディスプレイと連動させながら自宅で体験するといった展開も可能である」(代表取締役社長の山路和紀氏)とした。3年後には28億8000万円の売上高を目指すという。

 CSAJは、9月から2次募集を始め、12月10日に締め切ったところだ。2次募集には5社が応募。2016年1月にも選定審査する。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加