比留川氏は、見守りセンサの例も紹介した。1つは、Microsoft Kinect(キネクト)を使って映像を監視するというアイデアだ。認知症の人がベッドから起き上がったり徘徊したりするのを検知する。すでに製品化されているという。
湯気がありカメラ映像での監視が難しい風呂場用に、24GHz帯のミリ波レーダーを使うアイディアもある。IoTも役立つ。例えば、RT.ワークスの歩行器は、各種ログデータやGPSデータを携帯電話インターネット回線でクラウドに上げている。また、介護者の移動範囲や所要時間をビーコンで計測することによって、どの介護にどのくらいの時間がかかっているのかが分かるようになる。
講演の後半では、歩行装置を実際にデモンストレーションして見せた。まず、RT.ワークスで執行役員コーポレート統括本部を務める藤井仁氏が、同社製品「ロボットアシストウォーカー RT.1」を押して登場した。
ロボットアシストウォーカー RT.1は、高齢者や足腰が弱った人の歩行を助ける歩行器だ。特徴の1つは、電動モーターで歩行をアシストすること。押した力を計測するセンサや道路の傾斜を測るセンサなどを備えている。坂については、登りはアシストし、下りはブレーキをかける。
もう1つの特徴は、各種ログデータやGPSによる位置データを、携帯電話インターネット回線を通じてクラウドに上げていること。これにより、ウェブページを介して歩行経路や、何歩歩いたのかなどが分かる。本体が転倒した際には、スマートフォンに「どこで転倒したのか」をリアルタイムに地図付きで通知できる。
続いて登壇したのは、体に装着することによって歩行を支援する装置「Honda歩行アシスト」を開発した本田技研工業だ。
この装置は、二足歩行理論である倒立振子モデルに基づく効率的な歩行を誘導するという。ヒューマノイドロボット「ASIMO」で培った歩行理論をもとにしている。
重量は2.7キログラムと軽量で、モーターと角度センサーを組み合わせており、弱い力で歩けるようになる。実際に、2年半前から国内約50カ所の病院で100台の装置をリハビリ用に使ってもらっているという。2015年11月からは一般向けにリース販売もスタートした。
装着は簡単で、1分くらいで装着できるという。デモでは、Health 2.0の共同創設者Matthew Holt氏に装着し、歩いてもらった。「5%から8%の力だけで歩ける。普通は80ニュートン程度の力だが、4ニュートンで歩ける」(本田技研工業の伊藤寿弘氏)。
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