ファーウェイは11月12日、シンガポールでイベント「ファーウェイ・イノベーション・デイ アジア」を開催した。持続的なICTイノベーションエコシステムの構築を目的に、各地域の政府関係者、企業、有識者などを招いて開催するイベントで、これまでに欧州で3回開催されている。アジア太平洋地域では初開催となる今回のテーマは「スマートシティ」だ。
ファーウェイといえば、日本ではスマートフォンやルータなどのモバイル端末メーカーとしての側面が強いが、グローバルでは通信事業者向けのネットワーク事業者としても高い存在感を示している。世界トップ50の通信事業者のうち45の事業者が同社のソリューションを採用。また、東京やシンガポール、ロンドンなど100カ国以上の都市でLTEネットワークを構築している。今後はこうした強固なネットワークを、IoTやスマートシティ向けに展開していきたい考えだ。
同社のインダストリー・ソリューション担当最高技術責任者(CTO)であるジョー・ソー氏は、スマートシティについて「都市の管理者が住民の質を改善するためにICTを活用すること」と定義づける。都市に人々が集まると、交通渋滞やエネルギー不足などさまざまな問題に直面するが、これらを解決する手段として期待されているのがスマートシティであると語る。
都市のスマートシティ化には、ワイヤレスネットワークなどICTのインフラが十分に整備されていることが前提になるとソ―氏は話す。その上で、監視カメラやモバイル、ロボット、クルマなどから収集したデータを管理するマネージメントシステムが必要だと説明。さらに、政府や警察、鉄道など各機関のシステムを統合することで、たとえば街で襲われた人がスマートフォンアプリで助けを呼ぶと救急車が向かうと同時に、医療機関が過去の記録を確認し、警察は付近に不審者がいないかを調べられるようになるとした。
「中国・天津での爆発事故や、韓国の旅客船の沈没などについて、都市では何が起こっているのか分からない。スマートシティ化して、コマンドセンターに情報を集約することで、事故や災害を未然に防ぐことができる」(ソー氏)。
ドバイですでに導入されている事例として、街中に設置されたあらゆるカメラ映像をワンクリックで表示して、どこで何が起きているのかを網羅的に把握できるシステムを紹介。どの道に何人の警察官やパトカーがいるのかも確認できることから、街の安全をこれまで以上に守れると話す。その一方で、スマートシティは政府や都市と住民が共に作りあげていくものであることから、住民のプライバシーにも十分に配慮する必要があるとした。
ソー氏はスマートシティを構築する上で重要になるのは、どういった目的で都市を計画するかという”ビジョン”だと説明する。「それぞれの都市に特性があるため『他の都市がこうしたからこうする』とは言えない。またスマートシティは、最も課題となっていることから優先して土台を作るべきだ」(ソー氏)。また、犯罪率がどの程度下がったかなど、KPIを明確に設定して運用することが望ましいとした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス