同日のイベントでは、シンガポール貿易産業相のS.イスワラン氏が登壇。シンガポール政府ではこれまでにもICTを使って、多国籍企業や中小企業を奨励する取り組みを進めていると語り、1999年は20億ドルだった貢献度は今では600億ドル規模まで拡大していると説明する。その中で、2011年からシンガポールの通信インフラを構築してきたのがファーウェイだとした。
イスワラン氏が、スマートシティ化に向けた代表的な施策として挙げたのが「ロードプライシング」だ。シンガポールの国土は東京23区とほぼ同等で道路の拡張が難しいため、同国では1998年から道路料金自動徴収制度(ERP)を導入している。
日本では一般道と高速道路などの有料道が分かれているが、シンガポールでは都市の一部の地域に入る際に自動的に車載機によって料金を徴収することで、都心での交通渋滞の解消に成功したとイスワラン氏は説明。また、シンガポールMIT研究技術連盟(SMART)などはすでに自動運転車の試験走行を進めていると先進性をアピールした。
このほかICTを活用した取り組みとして、シンガポール首相府 スマート・ネーション・プログラム事務所所長のタン・コック・ヤム氏は、オープンデータを読みやすい形で積極的に提供し、大学や研究機関などと連携してデータ分析の専門家の育成に力を入れていると説明。また、若い起業家育成を目的としたシンガポール国立大学(NUS)が運営するインキュベーション事業「NUS Enterprise」なども展開しているとした。
この日は、テレコム・インドネシア上級副社長のジョディ・ハーナンディ氏も登壇し、同国でのスマートシティに向けた取り組みを紹介。インドネシアには約500の街があるが、すべての街に共通しているのが、降水量が多く1年のうち6カ月間は洪水の危機に瀕すること、またゴミ処理や交通渋滞などの問題だと話す。
同国では、こうした問題の解決に向けて積極的にスマートシティ化を推進しており、2014年には上位5つの都市がスマートシティ化する条件が揃っていると認められた。ただし現状は、そのほとんどが初期段階であったり、インフラを設けていてもそれらが散在している状態であるため、これらの統合が必要だとした。
ハーナンディ氏は、アジアにおける数少ないスマートシティの1つであるインドネシア・バンドン市における事例も紹介。街中の監視カメラの映像を見られる閉回路テレビであるCCTVを使って、コマンドセンターからリアルタイムに犯罪や交通事故などのトラブル状況を把握できるようにしている。また、Facebookなどの各種SNSの情報を収集し、住民が陥没した道路の写真をアップロードすれば、業者が迅速に現場に舗装に行くといった状況が生まれているという。
こうした体制を構築するためには、「政府が問題を認識し、スマートガバメントを構築しなければいけない」(ハーナンディ氏)と強調した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境