仮想世界に“触れられる”コントローラー「Oculus Touch」--開発者インタビュー

藤井涼 (編集部)2015年09月24日 11時00分
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 2016年第1四半期に出荷予定のVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Oculus Rift」。この専用コントローラーとして、6月に発表されたのが「Oculus Touch」だ。2016年の上半期中に出荷予定の同製品を国内で体験するとともに、開発を担当する米Oculus パートナーエンジニアリングマネージャーのChris Pruett氏にインタビューする機会を得た。


米Oculus パートナーエンジニアリングマネージャーのChris Pruett氏

 Oculus Touchは円形のコントローラーで、人差し指で輪の中にある引き金式のボタンを、親指でスティック式のボタンを操作する。最大の特徴は、トラッキング用のマーカーによって、仮想世界の中にまるで自分の手が存在するような感覚を味わえること。Oculus Riftを装着した状態でOculus Touchを握ると、目の前に浮いている手が現れる。

 スタッフの指示の下、いくつかのデモを体験させてもらった。最初は目の前に置かれたブロックを掴むというもの。手を伸ばして人差し指のトリガーを引くと簡単に持ち上げることができた。トリガーから指を離すことでブロックを置いたり、投げたりすることができる。また、右手から左手にブロックを持ち替えるといったことも可能だ。トラッキング(追跡)の精度はかなり高く、コントローラーを握っていることを忘れてしまうほどだ。


 射的が楽しめるデモでは、おもちゃの銃やゴムパチンコ、ブーメランなどが置かれており、それらを自由に手にとって前方のオブジェを打ち壊せる。それぞれ現実世界と同じ動作で扱うことができ、慣れてしまえば、比較的狙った場所に正確に飛ばすことができる。わずか5分ほどのデモだったが、これまでに味わったことのない没入感を体感できた。

 現在も開発が続いているOculus TouchについてPruett氏に聞いた。なお、同氏はグーグルの日本でのAndroidのローンチに参画した後、ゲームスタジオRobot Invaderを創業するなどし、現在はOculusに参画している。

現実世界を忘れる「プレゼンス」を追求

--OculusにおけるPruett氏のポジションを教えて下さい。また、なぜOculusに参画したのでしょう。

 Oculusでは、VRコンテンツの開発者の窓口をしています。VRの開発は技術だけでなく、デザインやVRでしか存在しないスクリーンの条件などがあり、そういった側面でコンテンツ開発者をサポートしています。

 (Oculusへの参画について)私は新しいゲームプラットフォームに興味があります。グーグルでAndroidをローンチした時も、それまでタッチパネルに対応したゲームはそこまで存在しませんでしたし、デジタル配布という提供方法によってゲームの形が変わると思いました。

 そして、Oculus Touchこそが世界を変えるテクノロジだと思っています。Oculus Touchのデモで分かったと思いますが、VRの中に手が見えるというテクノロジが現れるだけで遊べるゲームが一気に増えるのです。それによって新しいゲームスタイルが生まれることに面白さを感じます。


Pruett氏によるゲームプレイの様子

--他社からも競合製品が登場すると思いますが、その中でOculus Touchの最大の強みは。

 私たちが一番大切にしているのは、「プレゼンス」という感覚です。それは、自分がVRの世界に入り込んで、現実世界を忘れるということです。そのために、頭や手のトラッキングなどがほぼ完璧でなければ、自分の脳を騙すことはできません。デモでも体験いただきましたが、自分の手がVRの中にある感覚があり、大体の人はコントローラーを持っていることは忘れるでしょう。

 コントローラーのデザインについても、持つ感覚や重さのバランスなどが完璧でなければ、ユーザーが長く使いたいとは思いません。コントローラーには、丸い輪のようなものがついていますが、そこに手のトラッキング関係の技術があり、センサを利用して手の正確な位置を計算しています。実は、自分の身長と同じ位置に手が見えるようになっています。


「Oculus Touch」

--ゲーム開発者はOculus Touch対応のコンテンツを容易に開発できるのでしょうか。

 ゲーム開発者にとって、Oculus Touchに対応することはそこまで難しくありません。技術的な問題はすべて私たちの方で解決し、開発者は自らのコンテンツにフォーカスできるようにしたいと思っています。たとえば、UnityやUnreal Engineなど、すでにあるゲームエンジンとインテグレートして、より作りやすいAPIを用意したいと思っています。

--今後、Oculus Touch向けにどのようなコンテンツが提供されるのでしょう。

 それは私たちが決めることではないでしょう。私たちはあくまでもテクノロジを提供し、開発者の方々がそれを使って何ができるのかをいろいろとテストしていくのだと思います。まったく別の場所にいる人同士が遊ぶこともできるため、対戦やコミュニケーションなど、これからどのようなコンテンツが生まれるのか非常に興味がありますね。

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