Wearable Tech Expo 2015

スタートアップと実現するイノベーション--エンタープライズが組むメリット - (page 2)

 そして、Joffe氏が「スタートアップのロボティックスと、メーカーの工場の力を組み合わせた例」として紹介したもう1つの事例が「Avid Bots」というロボット掃除機だ。センサで部屋の形状を認識して最適なルートを自動設定して走行するロボット掃除機だが、深センに工場のある掃除機メーカーを買収して、既存の掃除機にセンサやスキャナなどのインテリジェンス機能を加え、自走型のロボット掃除機へと改変させたという。

 Joffe氏によると、買収された掃除機メーカーは「他メーカーと競合する中で、自社でロボット掃除機ができるとは思わなかった」と話したといい、まさに大企業とハードウェアスタートアップが組む、Win-Winの好例だ。

 次に紹介された「Prynt」は、スマートフォンをポラロイドカメラ化させるユニークなツールだ。Zinkが開発した、インクを紙に入れてカートリッジなしでも印刷できる技術を活用し、プロダクトを生み出した事例。Joffe氏によると、Zinkのこのテクノロジはおもしろい技術だったが、最適なユーザーがなく、企業の業績は悪化していたという。

 しかし、「ポラロイド社のインスタントカメラは廃れてしまったが、多くの人がその場で瞬時に印刷できたらと思っている」と考え、この技術でスマホ向けのインスタントプリンターを企画。その結果、半信半疑だったプロバイダー側のZinkの予想に反し、Kickstarterでの調達資金は150万ドルにものぼったという。

 その他、HAXが関わった大企業とスタートアップの協業で生まれた事例として、世界初の生地用3Dプリンタ「Electroloom」や、世界初の9ドルのコンピューター「CHIP」などを紹介。Joffe氏は、これらのハードウェアは、今後、パートナーとの協業次第で、社会や業界の未来を大きく変革していく可能性を秘めていると期待を込める。

 Joffe氏は「CHIPのようなお手頃価格のコンピューティングの登場により、将来は使い捨てコンピューティングの時代がやって来るかもしれない。そうなると、ハードウェアの未来は、モノに何にでもコンピュータが入り込み、インテリジェントで自立したデバイスが増えていくだろうと予測される」と見通す。

 さらに、「例えば、トースターのようなシンプルなデバイスもたった10ドルか20ドル追加で払うだけでWi-Fi接続やセンサによる顔認識や指紋認証などスマート化でき、多様なつながるデバイスであふれるだろう。われわれはまさにそんな革命の直前にいる」と自身が予感する、今後のハードウェアスタートアップの活性化の方向性を語り、講演を締めくくった。

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