DeNA、グリー、Donutsがコミケで手を組んだ理由--リアルイベントの重要性を聞く - (page 2)

消滅都市における「キャラクターを借りただけにしない」コラボの姿勢

--DeNAとグリーとしてはアプリ内でのコラボをしました。ハッカドールには消滅都市とのコラボエンドカード(イラスト)の配布、消滅都市には専用のクエストが作られてハッカドール1号が登場する形になっていました。

岩朝氏:ハッカドールも消滅都市もメインはスマホアプリであり、しかもそれぞれがコラボ施策を結構やっていますので、コミケの場だけではなくメインでも盛り上がることをしようと提案したのがきっかけですね。消滅都市では、最初ハッカドール1号が敵として登場するのですけど、その画面を見たときにチームのエンジニア陣はコラージュ画像だと思ったぐらい大ウケでした(笑)。個人的には、ギークがハッカドールのサービスについて語るやりとりが秀逸でしたね。お客さんにも楽しんでもらえましたし、ここまでしてくれてありがたかったです。

下田氏:版権元によっては許容していただける範囲が異なるのですが、こちらとしてやるからには、キャラクターを借りただけのものにしたくありません。シナリオからグラフィックまで、いい意味で空気を読まず全力で作ります。それゆえ「さすがにこれはちょっと……」という指摘を受けてしまうこともあるのですけど、熱意を持って取り組むことが版権元もユーザーにとってもいいことだと思ってます。

消滅都市のなかで、期間限定で実装されたハッカドールの専用クエスト
消滅都市のなかで、期間限定で実装されたハッカドールの専用クエスト
  • 主人公の運び屋であるタクヤ(左)のもとに現れるハッカドール1号(右)

  • 最初は敵として登場するハッカドール1号

  • タクヤの友人であるギーク(右)がハッカドールを使い込んでいるという形で、サービスについて説明

--専用クエストのシナリオが主人公のタクヤの幼少期に関わる内容で、設定の根幹にも触れているようにも思われるものでしたし、クエストで登場した敵のセリフが“コミケあるある”をふんだんに盛り込んでいて、力の入れようがすごかったです。

下田氏:やるからには、これまでハッカドールとコラボしたタイトル、またこの先にコラボするであろうタイトルにも負けたくないので、かなり踏み込んだものにしました。とはいえ、どこまで攻めた作りにするかはいつも悩みどころですし、それを許容していただけるとホッとします。

--ちなみに成果や効果などはありましたか。

下田氏:ハッカドールを利用している方が消滅都市を遊ぶとき、1日にログインする回数が飛び抜けて多いんです。1日3回のニュース配信があるサービスだからか、何度もアプリを立ち上げることが習慣となっているのかもしれません。このお客さまの動きはほかのコラボで見られない傾向でスタッフも驚いていました。

 盛り上がりについては数字では見えない部分にあると思っていて、たとえばSNSなどの書き込みなどで気付くところですけど、たくさんの方がハッカドールさんとのコラボを話題にしてくれたので、それだけで成功だったと思います。

岩朝氏:ユーザーが定着するコラボもそうでないコラボもあるのですが、相性が良かったと感じています。消滅都市を遊ばれる方はゲームを遊ぶということに慣れていたり、アクティブに情報を追い求めている方だと思うので、ハッカドールもちゃんと使いこなしていただいている印象を持っています。

作品へのこだわりがあるゆえの、両面イラストのオリジナルうちわ

--3社としてのキャンペーンは、コミケ会場でのオリジナルうちわの配布でした。

岩朝氏:夏なのでうちわがいいだろうと、単純な理由ですね。各社さんのブースの状況がまちまちなので配布ルールは統一せず、それぞれの判断で配りました。うちは冊子やショッパーもあることから、配布物がある前提のオペレーションを組んでいたので開場時点から配布していましたけど、お昼ぐらいにはその日の配布が終了するほどでした。

下田氏:こちらでは、できるだけグッズを買ってくださる方を優先したいと思っていたので奥まったところでお渡ししていたのですが、それでもブース前まで問い合わせてもらいに来る方が多かったです。

  • 片面は消滅都市とハッカドールの描き下ろしイラスト

  • もう一方の面には、ナナシスの12人ユニット「777☆SISTERS」(スリーセブンシスターズ)のイラスト

--片面はユキとハッカドール1号との描き下ろしイラストになっています。

下田氏:イラストについては消滅都市のデザイナーが担当しました。ユキのデフォルメは結構評判がいいようで、グッズにタクヤとユキがスクーターに乗ったラバーストラップがあるのですけど、デフォルメユキのものが欲しいという意見もいただくぐらいでした。

岩朝氏:やはりデフォルメキャラの見栄えやキャッチーなところはいいなと思います。

--もう片面がナナシスのイラストになっていますが、ナナシスのキャラクターを交えた合同イラストは検討されたのでしょうか。

岩朝氏:中川さんから、ナナシスは世界観を混ぜる形のコラボはしないという方針があるとのことでしたので、片面は2人で、もう片面はナナシスという形になりました。

下田氏:ナナシスの春日部ハルを含めた3人のイラストというのもあったのです。岩朝さんと最初に打ち合わせした次の日に、デザイナーが勢いでコラボのイメージ図みたいなイラストを描いてて。

岩朝氏:中川さんにコミケでのコラボのご提案がてら、そのイラストもお見せました。それ自体はかわいいという感想をいただいたのですけど、検討したうえで方針は変えないとの判断でした。作品に対する強いポリシーを持っていることが感じられましたし、両面に分かれた形にはなりましたけど、ナナシスと一緒となっているグッズはあまりないと思います。3社が一緒に何かをしたという記念として配布できたことは良かったと思います。

コミケ出展はサービスローンチ直前の気分と同じ

--今振り返って、コミケ出展の感想はありますか。

下田氏:ほかにもイベントの出展経験はありますが、スタッフが改めてIPを作っているという意識を強く持てたのが大きいですね。お客さまからまた出展してほしい、グッズを作ってほしいと思われるぐらいのところまで行くのが目標ですし、そのためにはどうするべきかを考えるきっかけになったと思っています。

岩朝氏:コミケ出展のドキドキと不安というのは、サービスのローンチ直前の気分と同じ気がします。ハッカドールはコミケにあわせてサービスをローンチしたり、大型アップデートを行うのでさらに大変ですし「次は休みたい……」と思うときもあるのですけど、この緊張感を定期的に体験しないと、物事を始めるパワーや土壇場で出す力が衰えるので。また計画力やチーム力を養えるところもあるので、それは自分だけはなく若いスタッフにも経験してほしいですね。

下田氏:ちょうど500万ダウンロードの記念キャンペーンとタイミングがかぶって大変だったので、その気持ちはなんとなくわかります。DeNAさんのブースを見ていると、お渡し会もそうですけど、配布物や物販、あと終盤のコンパニオンさんの撮影といったところまでオペレーションが行き渡っていて、きちんと運営について考えられていると実感しました。

岩朝氏:前職時代から約10年ほどコミケの企業ブース出展に携わってきた方がチームにいるので、そこで助かっているところはあります。そういえば、うちのスタッフで「消滅都市のグッズを買っていいですか? スタッフTシャツを脱いだ方がいいですか?」って僕に聞いてきたのは面白かったです(笑)。そのスタッフもどっさりとグッズを買ってましたし、スマホケースはすぐに売り切れていたりと、消滅都市の熱心なファンが確実にいらっしゃるのを実感しました。

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