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女子中高生はなぜ「セクスティング」をするのか--リベンジポルノにつながるリスクも - (page 2)

なぜ女子中高生は自らを「JC」「JK」と呼ぶのか

 女子中高生などは、自らのことを「JC」「JK」と言う。しかし、元々「JC」「JK」は、女子中高生の若さを商品にする場合に使われる言葉だったはずだ。その証拠に、対となるはずのDK(男子高生)という言葉こそあるがほぼ使われていないし、DC(男子中学生)という言葉はない。あくまで、女子中高生自体に価値があるからこそ生まれた、商品価値を示す言葉なのだ。

 ところが、最近の女子中高生は自らの価値を最初から知っており、これを逆手にとって自ら「JC」「JK」と名乗っている。「せっかく価値があるなら使わなければ損」というわけだ。実際、ツイキャスやニコニコ生放送などで動画を配信する女子高生の何割かは、タイトルに「JC」「JK」などと入れる。入れるとアクセスが増えることが分かっているからだ。ただし、「JC」「JK」で集まるのは、女子中高生との交流を目的とした男性がほとんどになってしまう。

 被害に遭う女子中高生の多くは、自らの価値や魅力に気付き始めた時期で、好奇心からそのような行動に出てしまうことが多い。周囲からの反応や求められること自体が嬉しくて、安易な自己顕示欲や自己承認欲求から、過激な行動に走ってしまうのだ。実際に売春などをするのは敷居が高くても、写真を撮って送るだけなら簡単にできてしまうというわけだ。

そもそも撮らない・撮らせないことが大切

 裸の写真は、故意に保存・拡散されてしまう場合が多い。中には、アダルトサイトや匿名掲示板などに転載されるケースもある。実際、アダルトサイトの中には、リベンジポルノや流出したセルフヌード写真などばかり集めているサイトもあるようだ。

 このような現状を危惧し、2014年11月、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(リベンジポルノ禁止法)が成立している。2015年3月には、Twitterに元交際相手の専門学校生の女性(20)の裸の写真を投稿したとして、39歳の男が同法違反容疑で逮捕されている。

 しかし、逮捕こそできても、一度インターネットに投稿してしまった画像を削除することは事実上不可能となる。中学生の頃に好奇心から撮った写真が流出し、「自分の名前を検索すると過去の裸の写真が出てくる。知り合いが検索して見たらどうしようと思うと就職もできない」と悩んでいる20代女性もいる。そのような目に遭ってから後悔しても遅いのだ。

 故意に流出させずとも、端末を落として保存していた恋人の裸の写真を流出させた例や、ウイルスに感染して流出させた例もある。2014年8月には、Appleが提供するクラウドサービス「iCloud」をハッキングされ、ジェニファー・ローレンスなどハリウッド女優などのセルフヌード写真が多数流出する騒ぎも起きている。そもそも撮影した時点で流出の危険性がついて回るのだ。

 裸の写真を含め、流出すると自分が困るような写真は、そもそも撮らない、撮らせないことが大切だ。女子中高生などはまだそのような危険性が分かっていないため、ぜひ保護者がこのようなリスクについて教えてあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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