logo

グリー、中学生向けのネット利用啓発アプリを無料配信--“今”起きている問題がテーマ

佐藤和也 (編集部)2015年09月08日 19時58分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 グリーは9月8日、スマートフォンやインターネットの安心安全な利用方法を啓発し、楽しみながら学べるスマートフォン向けアプリ「魂の交渉屋とボクの物語 - Soul Negotiator -」の配信を開始した。対応OSはAndroidとiOSで、価格は無料。

 これは主に中学生を中心とした若年層を対象に、スマートフォンやインターネットの安心安全な利用の促進を目的として制作された情報モラル啓発アプリ。プレイヤーである主人公の前に魂の交渉屋が現れ、クラスメイトたちの魂の行方を決める代理人となることを持ちかけられる。さまざまなトラブルに巻き込まれたクラスメイトを救うことが目的で、「人生は選択の連続」という交渉屋の言葉通りに次々と選択肢が突きつけられる。その選択によってエンディングが変化するという内容となっている。

  • 画面イメージ

 全5章で、ストーリーは第1弾として「不適切投稿」「炎上事例への対応」「異性との出会い」「児童ポルノ」「長時間利用」をとした物語が展開。10月に追加予定の第2弾では「高額課金」「アカウント乗っ取り」「架空請求」「既読無視」「言葉の勘違い」という、スマートフォンやインターネットの利用時に実際に起こり得るケースを題材とした内容となっている。監修として千葉大学教育学部教授副学部長で、教育方法学や授業実践開発を専門とする藤川大祐教授が参加している。

  • 物語の鍵を握る魂の交渉屋について、セシル(一番右)には声優のKENNさん、リディカ(右から2番目)にはアイドルグループ「フェアリーズ」の下村実生さんがキャラクターボイスを担当

  • 第1弾として展開されるテーマとストーリー

  • 10月には第2弾としてストーリーが追加される

「インターネットは玄関の外側」、啓発活動とゲーム開発のノウハウを融合

  • グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏(左)と、千葉大学教育学部教授副学部長の藤川大祐教授(右)

 同日に説明会を開催し、アプリ制作の背景について説明が行われた。登壇したグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏は、これまで「GREE」としてサービス運営を行うなかで発生した、SNS上での青少年との出会いを目的とした利用、またソーシャルゲーム業界における消費者問題など社会的な課題に対して利用環境の整備を行ってきたという。また全国各地での出張講演や教材・冊子の配布、またイベントや啓発アプリの配信によって啓発活動を実施しているとし、8月末までに講演は679回、教材は72万部を配布していると説明した。

  • グリーがこれまで行ってきた啓発活動の歴史

 近年、青少年のスマートフォン所有率が急速に上昇し、ネット上のトラブルが多様化していることを背景に制作したとし、これまでの環境整備や啓発活動で行ったノウハウとゲーム開発やアニメーション制作のノウハウを融合したものとしている。また「我々のミッションは『インターネットを通じて、世界をより良くする』。その実現のためには、今回のアプリも含めて啓発活動は重要なこと」と、その意義を説明した。

 藤川教授は、スマートフォンの急速な普及により幼児からの利用も珍しくないのが現状であり、親のお下がりとして利用している例も少なくなく「もう小学生から、何らかしらインターネットデバイスを利用しているものと考えるべき」と説明。

 利用時間増加による依存傾向の深刻化、子どもが感じる“多忙感”、学力、ネットいじめの比率、福祉犯被害などさまざまな面で悪化していることがデータとして見て取れることから「実効性のある対策が早急に求められている」という。またフィルタリング機能についても大半がネットワーク型(携帯電話事業者が提供)を利用している一方で、無線LANにまで利用している人は少なく、「事実上、スマートフォンのフィルタリングはできていないといっていい」と指摘する。

 こういった背景から情報モラル教育の重要性は高まっているものの、保護者や教師からの一方的な指導には限界があり、啓発アプリでは自ら学べることを利点としている。また今回のアプリは学校文化の指導的なものではなく、本格的な面白さを志向したものであることから、自発的に楽しむことを通じてネット利用における一定の知識が得られると期待を寄せる。「世界観やキャラクターといったところにも力を入れており、多方面でのメディア展開となれば情報モラルを高めることにもつながる」という。

  • 利用時間増加による依存傾向の深刻化

  • 子どもの「まじめ化」と多忙感について。藤川教授はスマホのすきま時間に何かするということから、時間に追われている感覚になってしまうという

  • 小学校における、学力と携帯電話やスマホの利用時間のグラフ。利用時間が長いと正答率が低い結果となっている

  • コーポレートコミュニケーション部 安心・安全チーム マネージャーの小木曽健氏

 実際に講演や教材制作に携わるコーポレートコミュニケーション部 安心・安全チーム マネージャーの小木曽健氏は、各所で講演を行うときに「インターネットは玄関の外側」と説明するという。自宅の玄関の扉に貼りだしてもいいものは何も起きないが、貼りだすにはみっともなさすぎるものを書くとたちまち炎上するなど問題が起きるとし、「自宅の玄関にベタベタと貼りだしていくことがインターネットの正体。玄関に貼りだせないものは、書かないほうがいいのではなく“書けない”。現実世界では当たり前のことでもネットで意識できないのは、その正体が見えていない」と指摘。インターネットでの振る舞いは、現実世界の玄関の外と同じようにすることが大事と語る。

 講演を通じ、さまざまな問題を抱えてしまった青少年に会ったことに触れ「こういったトラブルはネットで見聞きする問題ではなく、本当にあったこと。そしてトラブルの件数もニュースになっていないだけで、すごくたくさんある」とし、今なお現場で起きていることをアプリ内のストーリーとして落とし込んだという。そして「予防ではなく“すぐ止めるべきこと”を片手で学べるアプリ」とのべた。

  • 小木曽氏が説明する「インターネットは自宅の玄関に貼りだすこと」で、みっともないことの例

  • アプリを手がけたコーポレートコミュニケーション部 政策企画チーム マネージャーの法田貴之氏

  • 法田氏からは改めてアプリに関する特徴を説明した

-PR-企画特集