楽天と丸紅「参加型の電気」めざす--低圧需要家向け電力小売事業で提携

井指啓吾 (編集部)2015年09月01日 07時40分

 エネルギー需要開発で協業している楽天と丸紅は8月31日、低圧需要家向けの電力小売事業の契約を締結したと発表した。低圧電力を使用している「楽天市場」の出店事業者や、「楽天トラベル」に加盟する宿泊施設などに対して、丸紅が保有する再生可能エネルギー電源などからの電力を販売する。また、「楽天スーパーポイント」などポイントを活用した決済サービスを提供するほか、簡易HEMS(Home Energy Management System)を活用した新サービスの開発を進める計画だ。

  • 楽天のエネルギー事業長である菅原雄一郎氏

 両社は2014年10月にエネルギー需要開発の協業を開始して以来、楽天のプラットフォームを活用した電力受給取り引きの拡大や簡易HEMSの共同開発に取り組んできた。今回の業務提携は、「経済産業省の委員会で、電力小売りのビジネスモデルが見えてきた」(楽天のエネルギー事業長である菅原雄一郎氏)ことなどから、既存の取り組みを発展させるために決定した。

 今後の取り組みでは当面、楽天が顧客対応、丸紅が電源の調達や運用を担う。丸紅の国内電力プロジェクト部長である福田知史氏は、「一般の方は、丸紅を知らない。各家庭にアカウントを持っているところとの提携が我々には必要だった」と楽天と組んだ理由を明かし、(現在模索中の)他のアライアンス先も巻き込んで、2020年には業界の5%ほどのシェアをとれれば」と目標を語った。

 丸紅は世界23カ国で電力事業を運営しており、総計10GW超の持分発電容量を保有している。国内では新電力会社として、長野県、山梨県、福島県などで水力発電事業を、また福島県で洋上風力発電実証事業などを手がける。さらに、火力発電所の保有と新規開発も進めるなど、自社電源の確保と電力小売事業の拡大に積極的に取り組んでいる。

  • 丸紅の国内電力プロジェクト部長である福田知史氏

 福田氏は会見の席上で、「『電気』は究極の、色のつかない商品。それに、どのように色を付けていくのかに我々は挑戦したい」と話し、その1つのテーマを「参加型の電気」と表現して説明した。

 「我々が各地で実施しているエネルギーを作るプロジェクトに、ポイントを活用して出資するなどして参加していただいて、需要家の方々に『自分たちも電気を一部作っている』と感じていただきたい。実際に地元に足を運んで見学していただいたり、地元の特産物などに触れていただいたりするなど、参加型の電気にチャレンジしたい」(同氏)。その仕組み作りはこれから進める予定だという。

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