MozillaはモバイルOS「Firefox OS」の戦略を見直し、価格よりも体験重視することを明らかにしているが、その開発スケジュールと具体的な姿が明らかになってきた。
ユーザー体験を重視した「Firefox OS 2.5」は、11月に本体の開発が完了する予定で、スマートフォンやスマートテレビなどの製品に組み込むメーカーへ提供される。フィーチャーフォンのベースとなる新カテゴリ携帯も継続して開発中であり、OEMフリーのAndroid端末で動作するFirefox OSの提供も計画している。
一般社団法人 Mozilla Japanでモバイル&エコシステムマネージャでエバンジェリストを務める浅井智也氏が明らかにした。
7月27日、Firefox OSコミュニティは、渋谷ミクシィコラボルームを会場にして「関東Firefox OS勉強会 12th」を開催した。ここで、Mozilla Japanの浅井氏らが、Firefox OSの次期バージョンや開発ツールに関する最新情報を発表した。
Mozilla Japanは、ウェブブラウザ「Firefox」やモバイル向けOSであるFirefox OSなどの開発の中心となっている非営利団体Mozilla Foundationの日本支部で、Mozilla製品の開発の一翼を担うとともに日本の企業やコミュニティとの橋渡し役となっている。浅井氏によれば、Firefox OSを作り始めた理由は非常に単純だという。
「これまで以上に多くの人が、スマホやモバイルツールなどを使うようになりましたが、スマホはアプリだけで、既存のオープンなウェブとは別のエコシステムを作ってしまいました。それをFirefoxで、ひとつにつなげたいという思いで、Firefox OSの開発を始めました」
Firefox OSは、Androidの低レイヤの既存資産を活かしながら、JavaやC++といったネイティブアプリのための仕組みを省略し、シンプルにブラウザエンジンだけで十分なパフォーマンスが出ることを実証してきた。そのため、Firefox OSでは、電話機能もゲームもHTML/CSSとJavascriptだけでアプリが開発できるという。
現在は、世界44カ国18の通信事業者がFirefox OSスマホを提供している。日本国内では、KDDIが「Fx0」を提供しており、折りたたみ型やスライド型などのさまざまな形状のフィーチャーフォンもKDDIやLG U+、Telefónica、Verizon Wirelessらと2016年を目指して共同開発している。パナソニックが、Firefox OSを搭載したスマートテレビ(国内3シリーズ6機種など)を国内外で発売。新たな領域でもFirefox OSの利用拡大を進めてきたという。
浅井氏は、新バージョンについて、次のように語った。
「Mozillaで作るものは“全てウェブで作る”というコンセプトから始まって、実際に作って実証して、それを進化させていくという戦略をとってます。これからは、Firefox OSでも同じように継続的に製品を進化させていきます」
そのための基本原則として、ユーザーに焦点を当て、オープンなウェブ技術をベースにして、コミュニティと一緒になって開発を進めていくという。また、6カ月ごとに新バージョンを進めていく体制を整えた。Firefox OS 2.5は11月に本体リリースとなる。
Firefox OS 2.5では、ユーザーによる拡張性をさらに向上させ、ユーザーインターフェース(UI)やコードなどを自由に変更でき、その変更内容をアドオンとして他のユーザーと共有できるといった機能が盛り込まれる予定だ。複数のウェブページを更新可能な状態でまとめることができる「ピン止め機能」のほかに、プライバシーを優先してネットに接続していなくても動作する音声認識機能なども計画されている。さらに、開発者に向けてOEMロックフリーでOSを入れ替えられるAndroid端末向けのFirefox OSビルドを提供していくことも検討している。
浅井氏の発表資料は、「Next step of Firefox OS」として公開されている。
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