「最後までぶれずにやりきる」--4カ月で事業を洗練させる朝日のベンチャー支援プログラム

井指啓吾 (編集部)2015年08月08日 13時00分

 朝日新聞社は、7月21日に発表した「朝日新聞アクセラレータープログラム(Asahi Shimbun Accelerator Program、 ASAP)」の第1回説明会を8月5日に同社メディアラボ渋谷分室で開催した。メンターとして参画する郡裕一氏が、新規事業を立ち上げる際の心構えや、求める人物/チーム像を説明した。


メンターを務める、Otsumu代表取締役の郡裕一氏

 メンターの郡氏は、新規事業の立ち上げを支援するOtsumuの代表取締役を務めながら、複数のスタートアップを支援している人物。起業家支援プログラム「Reality Program」や、スタートアップ関連情報を扱うメディア「Turn Your Ideas Into Reality」も運営しており、これまでにウェブ系を中心に50以上の新規事業の立ち上げに携わってきたという。

 ASAPで募集するのは、サービスやプロダクトを持たないアイデアレベル、または自社プロダクトを持つシード~アーリーステージの企業や個人などのチーム。約4カ月間、専門家からのアドバイスや関連メディアによるプロモーション、ビジネスを拡大するために必要な知識や技術を身に付ける勉強会やワークショップなどの支援を実施。また、朝日新聞メディアラボ渋谷分室を開発拠点として無料で貸し出す。プログラム終了後には、朝日新聞グループとの事業提携や協業、数百万~1000万円の出資も検討。他企業や投資家とのマッチングも支援する。

 応募者の中から、事業領域を問わず5~10チームを選抜。参加者には4カ月間でサービスやプロダクトを完成させ、2月のデモデイで発表することを求める。


ASAPでのメンタリング内容

 ASAPで求める人物/チーム像について、郡氏は「Reality Programでは1時間に6チームをまとめて指導することもある。どんなチームがきても対応する準備はできている」としつつも、「よいメンバーが集まっているものの、どういった方向に進めばよいのかが分かっていないチームが現状多い。事業の土台を作り、大きく成長させていく気持ちのあるチームに参加してほしい」と考えを明かした。

 「方向は変わってもいいが、やることを決めたら、そこから迷わずに最後までやり切ること。たとえば、一度検証すると決めたことを、『何となく、これではない気がする』と感じて中断するのではなく、検証し終えて理解するまでをぶれずにやりきる。その姿勢が重要」(郡氏)。


各参加チームにオウンドメディア運営ノウハウも伝える

 郡氏は今回、参加チームにコンテンツマーケティングの手法も指導する。具体的には、各チームにオウンドメディアを立ち上げさせ、初月の目標として、1000件以上の「いいね!」が付くコンテンツの制作を目指す。「予算の限られたスタートアップができるマーケティングはオウンドメディアしかない。これは今までに支援した全チームがこなしてきた。3カ月ほどで大きなメディアにするノウハウを伝える」と自信を見せた。

 朝日新聞社メディアラボ室長の堀江隆氏は「渋谷分室は、社内外の優秀なエンジニアやデザイナーの皆さんとサービスを作る拠点として2014年10月に立ち上げた。それから1年近くになるが、ようやく本来の目的を達成できると期待している。ぜひプログラムにご参加いただき、ともに斬新なサービスの開発に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。


朝日新聞社メディアラボ室長の堀江隆氏

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