ヤフーは7月30日、2015年第1四半期の連結業績を発表した。売上高は1105億7600万円(対前期比10.6%増)、営業利益は491億5100万円(同0.8%増)、純利益は333億8000万円(同8.3%減)となった。
純利益の減少は、前年同期にジャパンネット銀行の持分法適用関連会社化にともない営業外収益を計上したことなどが影響した。事業基盤を強化するためにビッグデータ事業などへの先行投資を継続しているが売り上げが伸びたことにより、営業利益は増益となった。
ディスプレイ広告やオークション関連の売り上げが増加。前年度にワイジェイカードやシナジーマーケティングを連結子会社化したことも売り上げに寄与した。オークション関連取扱高、ショッピング関連取扱高を合わせたEC国内流通総額は、対前年同期比11.3%増の3110億円となった。
スマートフォンシフトは順調に進んでいるようだ。2015年5月の月間PV数で、スマートフォンの比率がPCを初めて超えて50.2%を記録。これまではDUB(デイリーユニークブラウザ)のみ逆転していた。スマートフォン広告の売上高は242億円で、広告全体の売上高(633億円)における構成比率は38.3%に拡大した。
同社では5月20日にスマートフォン版「Yahoo! JAPAN」のトップページを刷新し、タイムライン型に移行させた。ここに取り入れたインフィード広告が好調で、広告売上の成長を牽引しているという。使い勝手が変わることで既存ユーザーが離れるリスクもあるが、「大きな離反もなく、順調に推移できた」とヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は語った。
投資事業に位置づけられるショッピング事業は、ストア数が対前年同月比で2.4倍となる31万件、商品数が同47%増の1億7000万円に増加した。宮坂氏は「購買率と、1顧客あたりの平均注文回数の高さが追い風になっている」と説明する。
3月に開始したクレジットカード事業では、「Yahoo! JAPANカード」と「ソフトバンクカード」を合わせた有効会員数が100万人を超えた。ECサービス利用者やプレミアム会員にターゲットを絞り、“稼働率”を重視してプロモーションをかけて、2015年第4四半期には140~160万人にまで増やす計画だという。
2015年通期の連結業績は、技術や設備への先行投資をする費用が増えるものの、売上高、営業利益は前年度を上回ると見込んでいる。
ヤフーの取締役会長に就任したニケシュ・アローラ氏について聞かれた宮坂氏は、「非常にいい会長が来たと思っている」と話し、アローラ氏が日本にいる時には密にコミュニケーションをとっており、事業戦略について有意義なアドバイスを受けていると明かした。
アドバイスの内容は日常業務に関わるものでなく、未来を見つめたものだという。「5年後、10年後を見た時の、世界のインターネットはこうなる、といったもの。『先回りして、こうしたほうがいい』など、長い目でみたアドバイスをもらっている。8月にはヤフーの幹部を交えてより深い議論をする予定。これからますます新しい視点をもらえるのではないか」(宮坂氏)。
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