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ノーベル賞を生み出すプラットフォームに--研究者向けSNS「ResearchGate」 - (page 2)

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 すでにソーシャルネットワークサービスはあった。なぜ研究者向けのSNSがないのかと疑問に感じたMadisch氏は、“研究者の研究者による研究者のためのソーシャルネットワーク”というアイディアにいたる。「皮肉なことに、WWW(World Wide Web)こそ、ナレッジへのアクセスと共有を高速にしようと開発されたものだ。WWW上にはさまざまなコンテンツがありオンラインで靴も買える時代だが、肝心の研究者の問題は解決していなかった」(Madisch氏)。

  • 「なぜ研究者向けのSNSがないのかと疑問に感じた」とMadisch氏

 ただ、どのサービスもそうであるように、ResearchGateもアイディアから起業にいたるまで、そして事業が軌道に乗るまでには、時間と苦労を費やした。まず、当時の自身の教授から反対を受けた。大学での研究を半分、残りの半分の時間はResearchGate創業の準備に費やしたいと申し出たところ受け入れられなかった。当時27歳だったMadisch氏は教授職に近いところにいたからだ。

 教授に続き、家族も難色を示した。そこで、一時期ハーバード大学医学院に在籍していた際に交流のあった教授を頼ったところ、教授は半分ずつという提案を受け入れた上、ResearchGateのアイディアが気に入り、出資も申し出た。2008年末、Madisch氏は米ボストンへ渡った。「僕にとってこのアイディアはあまりにも明確で、疑いがなかった。やりたい一心だった」と振り返る。


「ResearchGate」のトップページ

 しかし、ちょうどリーマンショックの後で、市場はまだその膿が出続けていたところだ。Madisch氏は多数の著名な投資家に会ったが、うまくいかなかった。「彼らはどうやって収益を得るのかにこだわっていたが、僕にとっては収益の部分は簡単だった。問題はどうやって研究者たちの考え方を変えるか、研究を変えるかだった。ここを理解してくれないのなら、自分にとって正しい投資家ではなった」(Madisch氏)。

 そうやって過ごしたのち、2010年中頃、ようやく確信が持てる出会いが訪れる――LinkedInを共同創業し、Facebookの社員第2号となりプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントとして成長を支えたMatt Cohler氏だ。Madisch氏のアイディアを聞いたCohler氏は、「目標は?」と聞いた。この質問にMadisch氏は「ノーベル賞をもらうこと」と答えた。Cohler氏は自分が所属するベンチャーキャピタルBenchmarkから出資を決める。これがシリーズAの投資となった。

  • ドイツのアンジェラ・メルケル首相の訪問も受けた。メルケル首相自身も物理学者だ

 「収益よりもまず、研究の世界を変えようとしているところを評価してもらった」とMadisch氏。Cohler氏の薦めもあって、Madisch氏はボストンからベルリンに移ることを決めた、2010年末、Madisch氏はハノーバー大学時代の2人の友人とともにベルリンでオフィスを構えた。創業者3人を入れて合計6人でのスタートだった。

 次のマイルストーンはPayPal共同創業者のPeter Thiel氏との出会いだ。Madisch氏らは2012年、Thiel氏のFounders FundよりシリーズBの出資を受ける。Microsoftの会長を務めるBill Gates氏がResearchGateに出資するのはその1年後、2013年のことだ。Gate氏のネームバリューもあってメディアにも取り上げられた。Gates氏から出資を受けた3500万ドルは主にインフラなどの技術に用いたという。これにより損益分岐点となる“ブレークイーブン”となり、2014年末にはマネタイズに入った。

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