世界中の研究者たちがコラボレーションできたら研究のペースが進み、世界はもっとよくなる――そんな考えを抱いたドイツの医学生が研究者向けのSNSを立ち上げた。その名は「ResearchGate」。世界190カ国以上で700万人の研究者が利用する唯一の研究者向けソーシャルサービスだ。ドイツ・ベルリンにあるResearchGateのオフィスで、創業者のIjad Madisch氏に話を聞いた。
ResearchGateは、ほかのソーシャルネットワークサービスと同様に、研究者が自分のプロフィール情報を公開できる。研究者同士がコネクトしてメッセージのやりとりができるほか、自分の論文をアップロードして他の研究者からフィードバックを得ることができる。
自分の論文や研究に対する閲覧数、ダウンロード数、参照された数などもわかる。登録は無料。700万人いるという“研究者のプール”がマネタイズの土台となるが、広告がビジネスモデルではない。現在展開しているのは、研究機関や製薬会社など科学者や研究者を雇用したい企業・機関が人材募集の掲示を出す枠をサブスクリプション形式で販売するリクルートサービスだ。
今後は同じシステムを利用して、研究者向けカンファレンス事業者から収益を得るモデルを展開する予定だ。また、研究で使う機材や素材、機器などのマーケットプレイスを作るというアイディアもある。それぞれレビューやレコメンドなどのコミュニティ機能を組み込む。
研究の世界では世界各地の大学や研究所で同じような分野への取り組みが進められている。現在の研究者たちのステップとしては、長く孤独な研究のあとにうまくいった成功の部分のみを「論文」として科学誌などに出版、その課程だけでも長期にわたるが、自分の論文の反響を知るにも数カ月がかかる。2007年末、ハノーバー医科大学の博士だったMadisch氏はある研究をしている最中に、ふと自分と同じ課題に取り組んでいる人とコラボレーションして、一緒に解決できたらと考えた。
「良い結果を得るまでにたくさんの失敗がある。ポジティブな結果のみが評価の対象となるが、重要なのはミスを繰り返さないこと。失敗の情報を共有できれば、ほかの研究者が犯したミスを繰り返すことを防げる」(Madisch氏)。重複や無駄を省くことができれば、重要な課題の研究が少しでも早く進む。
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