ハッキング被害を受けたイタリアの監視ソフトウェア企業HackingTeamの最高経営責任者(CEO)がイタリアメディアLa Stampaのインタビューに応じ、自社を擁護した。CEOのDavid Vincenzetti氏によれば、このハッキングは「政府レベルでのみ」起こったものだという。これが事実だとすれば、顧客として多くの政府を抱えている同社にとっては皮肉な話だ。また、このハッキングは「数カ月にわたって計画」されていたに違いないという。これらの発言は、同社の最高マーケティング責任者(CMO)Eric Rabe氏が先週のZDNetとのインタビューで述べた見解を支持するものだ。Rabe氏はこのハッキングについて、「高度な攻撃」であり、「1人の人間が地下室で行うようなもの」ではないと語っていた。
Rabe氏はまた、HackingTeamが自社サイトに掲載した声明の中で次のように述べている。
「HackingTeamの調査により、誰もが任意の相手に対して(HackingTeamの)ソフトウェアを使用できるだけのコードが流出したことが確認された。
この攻撃を受けるまで、HackingTeamは、政府や行政機関にしか販売していなかったテクノロジにアクセスできるユーザーを管理することが可能だった。
だが今は、犯罪者による今回の行為のために、このテクノロジの使用者を管理する能力が失われている。必要な技能さえあれば、テロリストや脅迫者などがこのテクノロジを自由に使用することが可能な状態だ」
また、盗まれたファイルのキャッシュがオンラインに流出し、誰もが見られる状態になったため、キャッシュに含まれていた顧客記録から、HackingTeamは、スーダンやエチオピアなど、人権侵害で非難を受けて「ブラックリスト」入りしている国々と協力関係にあるとの疑いを持たれることになった。Vincenzetti氏は、これらの国々との関係について、一部は事実であることを認めている。
リビアに関して、Vincenzetti氏は取引関係があったことを認めているが、「(取引関係を持ったのは)リビア人が突然私たちの最高の友人になったように思われたタイミングだった」と述べ、自社を擁護している。
エジプトとモロッコも同社の顧客だが、シリアとは何の関係もないとVincenzetti氏は言う。
エチオピアに関しては、HackingTeamの監視ツール「Galileo」を利用して国内の活動家やジャーナリストを偵察していたと報道されているが、Vincenzetti氏によれば、この報道について話し合いを行った後に同国のアカウントを停止したという。さらに、スーダンとも取引関係があったが、この関係が始まったのは、同国の政治状況や規制が変化する前だとしている。
Vincenzetti氏はLa Stampaのインタビューで次のように述べている。
「地政学的な変化は急速に起こり、状況が次第に変化していくこともある。だが、私たちは武器の取引を行っているわけではない。何年も使用できる銃を販売しているのではないのだ。私たちは善良な市民だ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス