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人工知能で“荒れない”コメント欄--「議論の場」醸成めざしメディアに無料提供

井指啓吾 (編集部)2015年07月07日 13時00分
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 人工知能や自然言語処理を活用したサービスを提供するクーロンは7月7日、機械学習や自然言語処理、行動分析にもとづく独自の人工知能を搭載した、読者が健全な議論を交わすための“荒れない”コメントシステム「QuACS(クアックス)」をウェブメディア向けに提供開始した。人工知能を活用したコメントシステムは世界で初めてだという。

  • 「QuACS」イメージ。後述のニュースサイト「ガジェット速報」がすでに導入している

 ウェブサイトに数行のJavaScriptコードを埋め込むことで、読者が記事の内容に対して意見や感想を匿名でコメントできるようになる。コメントに含まれる言葉や文章の意味を人工知能が解析し、誹謗(ひぼう)中傷や罵詈(ばり)雑言、差別用語、違法取り引き、人権侵害、出会い目的、公序良俗に反する内容である場合に、自動でフィルタリングして表示しないようにする。

 「単語」ではなく、同一コメント内の前文の内容、他者のコメントへのレス(会話)の流れなど、文章や文脈を判定しているのが特徴。たとえば、麻薬や覚醒剤の購入を促すような違法取り引きに関するコメントは非表示になるが、「麻薬」「覚醒剤」といった単語が文中で適切に使われる場合には表示される可能性が高い。

 若者言葉やネットスラングなど、時代によって新たな言葉が生まれたり言葉の使い方が変わったりするが、機械学習により使えば使うほど精度が高まり適切な状態を保てるという。なお、「何かを表現したくてできなかったことは怒りに直結する」(同社代表取締役社長の佐藤由太氏)との考えから、たとえ非表示になったコメントでも、投稿者本人の画面には表示し、あたかも投稿できたかのように見せかける。

  • クーロン代表取締役社長の佐藤由太氏

 ウェブメディアへの導入時には、各媒体のガイドラインやポリシーなどに応じてフィルタリングの強弱を設定可能。媒体が持つ独自の雰囲気を損なわないとしている。なお、投稿されたコメントによりプライバシーや著作権の侵害があり、プロバイダ責任制限法が適用された場合には、発信者情報の開示などをクーロンが対応することになる。

 クーロンの調査によれば、コメント投稿者はサイトの平均滞在時間が長くなり、1日あたりの再訪問数が増える。ユーザー全体の平均滞在時間が53秒であるのに対して、コメント投稿者は平均11分19秒を記録。再訪問数は、全体の平均1.73回に対して、コメント投稿者は平均9.26回を記録したという。「消費コンテンツを滞在型に変えることで、ウェブメディアは収益機会を増やせる」と佐藤氏は説明する。

 導入費や利用費などはすべて無料。クーロンはコメント欄に埋め込まれたテキスト広告で収益を得る。メーカーや商材ジャンルなどに応じた広告の掲載可否は、媒体側が判断できる。

 すでにビジネス、スポーツ、テクノロジなどの情報を扱う複数の媒体が導入を決定している。2016年3月末までに100媒体に導入するのが目標だ。現在の対応言語は日本語だけだが、多言語対応を見越してシステムを設計しているそうで、2016年春頃をめどに海外展開を始める予定。また国内では、ブログやレビューサイト、掲示板サイトなどへの導入も進めてきたい考えだ。

 佐藤氏は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で人工衛星の画像処理システムの開発に従事した後、2011年3月に個人事業主としてニュースサイト「ガジェット速報」を設立した。当時の取材、記事制作経験などから、“大量消費”されている現在のニュースコンテンツの在り方、ニュースに対する議論の在り方に危機感を持っているという。

 「今を生きる人も、未来の人々も、ニュースを読んで終わりにするのではなく、議論をして考えてほしい。『(肩書きなど)誰が言ったかではなく、何を言ったか』を重視した議論の場を醸成させたい」(佐藤氏)。


クーロンのオフィスにて。佐藤氏(中央)、取締役の熊谷悠紀氏(左)、取締役の齋藤洋希氏(右)

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