コンピュータは人間を追い抜くのではないか、と懸念するあらゆる人にとって、IBMの「Watson」はコンピュータの優位性を示す興味深い事例だ。Watsonは既に米国のクイズ番組「Jeopardy」で人間を破った。今回は、創造的な食材の組み合わせで人間に感銘を与えている。今週、「Chef Watson」(Watsonの派生プロジェクトで、食べ物に重点を置いている)が独自の料理本を発売する予定だ。そのタイトルは、「Cognitive Cooking with Chef Watson: Recipes for Innovation from IBM & the Institute of Culinary Education」(Chef Watsonの経験的知識に基づく料理:IBMとThe Institute of Culinary Educationが提供する革新のレシピ)という舌を噛みそうな名前だ。
「Cognitive Cooking」には、Watsonのコンピュータ頭脳が生成した65種類のオリジナルレシピが収められている。IBMは、「このレシピ集のベースとなっているのは、フレーバー化合物や食べ物の組み合わせに関する理論、人間の嗜好性の心理に対するWatsonの理解だ」と話す。Chef Watsonの頭脳には、何千種類ものレシピや料理の材料、楽しい組み合わせ、食べ物の化学組成に関するデータが豊富に収められている。
Chef Watsonが得意にしているのは、独特の組み合わせを考え出すことだ。Watsonはコンピュータなので、「こんな味を組み合わせても上手くいくはずがない」「シーザーサラダでトルコ料理と韓国料理を組み合わせるなんてばかげている」といった条件反射的な心理的障壁がない。Watsonはデータとあらゆる可能性を扱うが、その結果、風変わりな人間のシェフでも思いつかない独創的なものが生まれることもある。
Cognitive Cookingには、トルコ風ブルスケッタ(ナスビとウルシ、パルメザンチーズ)、インド風ターメリックパエリア、スイス/タイ風アスパラガスキッシュなどのレシピが含まれる。これらのレシピを見ると、Watsonが世界の料理を積極的に組み合わせようとしていることが分かる。
「Cognitive Cooking」は米国時間4月14日にハードカバー版が発売される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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