ピクスタは6月26日、画像素材販売サービス「PIXTA」のAPI導入企業の募集を本格的に始めた。APIを導入したサービス上では、ユーザーはPIXTAのサイトに訪れることなく素材を検索、ダウンロードして無料で使用できる。企業がピクスタに支払う料金は事業規模などに応じて変わる。YouTuberプロダクションのUUUMが提供する「UUUMネットワーク」、DeNAのキュレーションメディア「iemo」への導入後、他社からの問い合わせが相次いでいたという。
同日、3社目のAPI導入先として、建設業に特化したクラウドソーシングサービス「ツクリンク」を運営するハンズシェアとの協業を発表。ツクリンク内にある、ホームページ制作機能「ほむつく!!!」にPIXTAのAPIを組み込んだ。ツクリンクのユーザーは、同機能内でPIXTAの画像素材を無料で使用できる。なお現在、「建設」のキーワード検索では約80万点の画像が表示される。
クラウドソーシングでの仕事の取り引きでは、企業情報や実績などの情報掲載元となる自社サイトの印象が、相手から信頼を得るための1つの要素となる。しかしハンズシェアの調べでは、ツクリンクを利用する会員企業1320社のうち約8割が自社サイトを持っていない。
同社によれば、建設業界は地場のつながりで仕事を受発注してきた背景があり、また個人事業主や中小企業が多いため、手間やコストの面から、自社サイトの開設に消極的だったという。さらに、自社サイトを開設しようにも画像素材を十分に用意できないという課題もあった。
2011年以降、東日本大震災からの復興や、2020年の東京五輪・パラリンピックの開催により建設需要が高まっている分、同業界では人材不足が深刻化している。国土交通省が発表した2014年度の2014年度の建設投資見通しは、48兆4700億円。また東京都では2013年に、五輪による2020年までの経済波及効果を、建設業界では4745億円と試算している。
両社はAPIに加え、建設現場の撮影での協業も視野に入れる。既存の画像素材ではなく、自社従業員の作業風景などの写真を使いたい会員企業に対して、PIXTAのクリエイター(素材提供者)による撮影機会を設ける。会員企業側は、撮影された写真を無料でもらう代わりに、クリエイターが画像素材としてPIXTAで販売することを許可する。今後、試験期間を経て運用を開始する予定だ。
ハンズシェアを含めた先行3社との協業の理由として、ピクスタでは「個人が『経歴や肩書き』ではなく『作品』で評価されるフラットな場を提供したい』という共通点があったため」と説明する。今後の協業先は「“クリエイターが作った”画像などの素材を必要だと感じてくれる企業」を期待しているという。
なおピクスタは同日、お気に入りのクリエイターをフォローできる機能をPIXTAに実装した。ユーザーはフォローしたクリエイターに絞り込んで、画像や動画の素材を検索できるようになる。ユーザーの要望に応えたものであると同時に、「自分のファン数を可視化できるようになる」などクリエイター支援の一環でもあるそうだ。
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