台湾発のハンドメイドマーケットプレイス「Pinkoi」が急成長し、頭角を現し始めている。ピンクと鯉を掛けて「ピンコイ」と読むPinkoiは、2011年にサービスを開始した、世界中のクリエイターの作品を販売するアジア最大級のオンラインマーケットプレイスだ。
ハンドメイドのEコマースサイトといえば、ニューヨーク発の「Etsy」、日本国内では「Creema」や「minne」などが知られるが、こうしたサービスと異なるのは、クリエイター本人によるハンドメイド商品だけでなく、本人がデザインさえ手がけていれば、他のクリエイターに外注して制作したものでも売ることができる点。Creemaやminneは、販売ガイドとして「出店者が自ら手作りした製品」に限定している。
また、先述の3サービスのような誰でも商品を売ることができるオープンプラットフォームとは異なり、商品を販売するためにクリエイターは運営会社の審査を通る必要がある。そのため、商品のクオリティが担保されていることもプロ指向のデザイナーを惹き付けている理由の1つだ。
Pinkoiの出品料は無料で、商品が売れるとその価格の10%+15台湾ドルが最低手数料として発生する。Etsyの出品料は1つの商品につき0.20米ドル、手数料は3.5%。Creemaの出品料は無料で、手数料は8%~12%。minneの出品料は無料で、Pinkoiと同じく10%の手数料が発生する。各サービスとも大きな差はないようだ。
サービスと同名の運営会社によれば、現在の会員登録者は世界で60万人以上、取り扱っている商品は32万点。アクセサリー、インテリア、ステーショナリー、ファッション小物など、実にバラエティ豊かな商品が揃っている。サービス開始以来、すでに120万点以上の商品が同サイトで購入されており、2014年の購入数は2012年に比べて67倍に成長しているという。
それに伴い、Pinkoiの売上は急上昇。2012年の66万米ドルから、2013年には一気に250万米ドルに増加した。台湾のEコマース市場は2015年には33.7億米ドル規模にまで成長が見込まれており、前年比20%増の成長率だが、それを大きく上回っている。
Pinkoiは2014年末に、日本でのサービスを開始した。日本のデザイナーが同サイトを利用した場合、台湾や香港、上海など中国の主要都市、シンガポール、マレーシア、欧米圏など世界47カ国のユーザーに商品を販売することができる。
Pinkoiの共同創業者であるPeter Yen氏は、2014年末の日本語版アプリのローンチの際、Tech in Asiaの取材に対して「台湾以外の初海外展開に日本を選んだ理由は、日本文化におけるデザインのクオリティにある」と話している。
「日本はアジアのなかでも優れたデザイナーや職人を抱えているのにもかかわらず、独特な経済環境であり閉じられている。私たちは日本のデザイナーが、より外に目を向けるきっかけになればと思っている」(Yen氏)。
日本では、Creemaやminniなどハンドメイド特化のマーケットプレイス、そして「ヤフオク!」や「LINE MALL」など大手の総合系マーケットプレイスの牙城を崩す必要がある。Pinkoiはサイトの日本語対応を進めているものの、現時点では商品の説明などに英語表記が目立つ。ユーザビリティも課題の1つだろう。
グローバル市場の開拓を目指すハンドメイドマーケットプレイス日本勢の競合サービスとして、Pinkoiの今後を注視していきたい。
>>「Pinkoi」日本語版サイトはこちら
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