オンデマンドの食料雑貨配達サービスを手がける新興企業のInstacartは、契約労働者に対する待遇の改善に乗り出した。
サンフランシスコに本拠を置くInstacartは米国時間6月22日、一部の都市で買い物代行を請け負う契約労働者をパートタイム従業員として雇用することを発表した。この契約変更は、ボストンの契約労働者200名とシカゴの契約労働者100名を皮切りに、今後数カ月以内に他の都市でも実施する。Instacartは現在、全米で7000人を超える契約労働者を活用している。新たにパートタイム従業員となった人は、労働者災害補償を受けたり、社会保障、医療保障、失業保険といった給与税の対象になったりといったメリットを得られる。だたし、健康保険は含まれない。
配達ドライバーとしてInstacartの仕事を請け負っている人たち、および買い物代行と配達の両方を請け負っている人たちは、今後も契約労働者のままだ。また、買い物代行を請け負っているが契約労働者のままでいたいと希望する人は、ドライバーまたはドライバー兼買い物代行に職種を変更できる。だが、雇用契約を希望しない人の数は少ないと見られる。Instacartでは、2月にボストンで実施した試験プログラムの結果から、現在買い物代行を請け負っている契約労働者の4分の3以上がパートタイム従業員に切り替わると予測しているという。
規制当局は、新しいオンデマンドサービス業界の企業の雇用形態に注目している。ここでいう新しいオンデマンドサービスとは、マニキュアの購入、レストランの食事の注文、車での送迎など、ありとあらゆることをスマートフォンをタップするだけで消費者が依頼できるサービスだ。こうしたサービスのほとんどは大量の契約労働者によって行われているが、彼らは、正社員であれば得られる健康保険や療養休暇といった福利厚生を受けることができない。こういったサービスを手がける企業が社員を雇用する形態に切り替えれば、労働者の地位が安定して収入も増えるだろうが、企業の利益が減り、利用価格の上昇につながるおそれもある。
Instacartの創設者兼最高経営責任者(CEO)のApoorva Mehta氏は6月22日、Bloomberg Businessの取材に対し、新たな規制が導入される可能性があるために今回の取り組みを決定したわけではないと語っている。同社によれば、買い物代行者はドライバーと比べて研修と監督を強化する必要があることが分かったため、彼らを雇用するのは理にかなった動きだという。ただし、ドライバーを社員に切り替える計画は今のところない。
規制当局や法律関係者は、オンデマンドサービスを提供する一部企業の雇用形態を注視している。中でも注目されているのはUberだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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