ウェアラブル・テクノロジを軸に、ビッグデータやIoTの利活用などをテーマに国内外の有識者がプレゼンテーションやディスカッションをする「Wearable Tech EXPO in Tokyo 2015」が、9月7~8日の2日間に開催された。
「グローバルトレンドに対する、日本大手企業の取るべきアクション」と題したプレゼンテーションでは、米国のベンチャーキャピタル「Fenox Venture Capital」のアニス・ウッザマン氏が登壇し、「IoT」「ヘルスケア」「ロボティクス」「ビッグデータ」という4つのテーマでグローバルのビジネストレンドを紹介した。
シリコンバレーを中心としたグローバルのICT市場でどのような変革が起きているのか。ウッザマン氏はまず、日常生活で使っているあらゆる家電製品がインターネットにつながりスマートフォンで操作できるようになるIoTの世界を、「データがクラウドに蓄積されることによって生活が改善・効率化していくこと」と定義。
その上で、IoT分野においてスマートフォンに連動したサーモスタッド「Nest」、セキュリティカメラや家電の操作がスマートフォンでできる「SmartThings」などの製品やサービスが、GoogleやSamsungに買収されている事例を紹介した上で、「IoTの世界で革命を起こしている会社がIT業界の巨人によって買収されている」と語った。
また大手企業では、MicrosoftがIoT技術の開発者向けにWindowsを無償で提供して、同社のクラウド基盤「Azure」の活用を促進したり、IntelがIoT機器向けのプロセッサテクノロジを開発したりしている状況を紹介。大手企業がIoT市場における技術的優位性の確保やプラットフォーム・シェアの獲得を急いでいると指摘した。
加えて、公共機関がIoTをインフラに導入した効果として、「ロンドンの地下鉄がすべてのトンネル、エスカレータ、エレベータ、セキュリティカメラをインターネットにつなげた。その結果、保全コストを30%削減することに成功した」と紹介した。
一方、スタートアップ企業では、農地の土壌や日照などの環境をデータ収集してクラウドに蓄積する「Edyn」を紹介。ウッザマン氏は、「農業分野はITのスタートアップは注目してこなかった分野だが、Edynは素晴らしい成果を挙げている」と評価した。
こうした企業の規模に関わらず、IoT分野でさまざまな企業が積極的な動きを見せている状況について、ウッザマン氏は「2020年には500億のデバイスがインターネットにつながり、1兆9000億ドルの市場に成長すると言われている。大企業もスタートアップもIoTを無視することはできない。IoTはこれから世界を支配するトレンドになり、その一部になることを考えていかなければならない」と提言した。
では、今後成長するIoT市場の中心にはどのような産業が考えられるのだろうか。ウッザマン氏は、ヘルスIT分野、製造分野、物流・小売分野、農業分野の4つの産業が、IoTによる技術革新によって大きな進化を遂げていくのではないかと語った。
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