ウェアラブル・テクノロジを軸に、ビッグデータやIoTの利活用などをテーマに国内外の有識者がプレゼンテーションやディスカッションを行う「Wearable Tech EXPO in Tokyo 2015」が、9月7~8日の2日間、お台場の東京ビッグサイトTFTホールで開催された。「Misfitが進める大手ブランドとのコラボレーション事例と、今後のWearable2.0デバイス」と題したプレゼンテーションでは、ウェアラブル活動量計「Misfit」シリーズを開発・販売するMisfitのNima Banai(ニナ・バナイ)氏が、同社の取り組みを紹介した。
Misfitは、活動量や睡眠量を計測する小型ウェアラブル端末「Misfit Shine」「Misfit Flash」やスマートフォンで操作できるLED電球「Misfit Bolt」をはじめとするホームデバイスをグローバルで展開しているサンフランシスコのスタートアップ企業だ。バナイ氏は、コカ・コーラとのコラボレーションによるキャンペーンやAppleが放映したCMでの展開、ファッションブランド「ヴィクトリア・シークレット」やアクセサリーブランド「スワロフスキー」、スポーツ用品メーカー「SPEEDO」と共同で開発したMisfit Shineのコラボレーション商品の事例などを紹介。その上で、同社がパートナーシップを積極的に進める理由として「ウェアラブル端末は、技術だけでなくファッション、アクセサリーであり、そこではブランド力が非常に重要になる。Misfitだけでブランドを立ち上げるのは大変な努力が必要となるが、既存ブランドとコラボレーションにより、これをショートカットできる」と説明した。
またバナイ氏は、1980年代のパソコンの登場、1990年代のインターネットの普及、2000年代のモバイル端末の拡大に続き、2010年代はIoTの登場による大きな変革が起きている認識を示した上で、「IoTには“スマート自動車”、“スマートホーム”、“ウェアラブル端末”という3つの大きな要素がある」と説明。そして、ウェアラブル端末がこれからどうなっていくのかという展望について、これまで世の中に登場したウェアラブル端末を“ウェアラブル1.0”と定義した上で、今後は新たな価値を盛り込んだ“ウェアラブル2.0”が登場すると語った。
バナイ氏によると、“ウェアラブル1.0”は、活動量、睡眠、心拍のモニタリングやGPSなど、計測に主眼を置いた機能が中心だったが、これが“ウェアラブル2.0”になると、決済、ID認証、コントロール(スマホや家電の操作)といった機能が盛り込まれていくと説明した。例えば、米国のディズニーランドでホテル宿泊者向けに提供している「Disney Magicband」は、腕時計型端末によって買い物の決済やパークチケット、部屋の鍵などの役割を果たしている。こうした多機能なウェアラブル端末がこれから登場してくるという。
バナイ氏は、ウェアラブル2.0の代表格として登場したApple Watchについて、「(ほかのウェアラブル端末が全滅するのではという憶測もあったが)むしろMisfitの売上は、Apple Watchの登場によって上がっている。ウェアラブル端末に対する世の中の認識や理解が高まったからだ。Apple Watchの登場によって日常的にデータを計測してくれるウェアラブル端末に関心が集まり、さまざまな価値や値段のある製品の中から、Misfitを選ぶユーザーも増えているのではないか」と語り、Apple Watchの登場がウェアラブル市場全体の追い風になっているという認識を示した。
「Apple Watchはアメリカでも期待したほどではないようだ。しかし、最初のiPhoneも期待したほど売れたわけではなかった。今後、第2世代、第3世代とバージョンアップしていくにつれて、iPhone以上に爆発的に売れる商品になるかもしれない」(バナイ氏)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」