Huluのオリジナルコンテンツ第2弾として発表された連続ドラマ「THE LAST COP/ラストコップ」(ラストコップ)は、規模、内容、放送形態とそのすべてにおいて、Huluの本気が感じられる仕上がりになっている。初のオリジナルドラマながら、単発ではなく7話の連続作品、初回となる「episode 1」を日本テレビの「金曜ロードSHOW!」枠で放送、放送同日に続きのepisode 2をHuluで配信するなど、日本テレビとHuluだからこそできる仕掛けが散りばめられている。放送と通信の融合はコンテンツにどんな効果をもたらすのか。日本テレビ放送網制作局専門副部長プロデューサーの戸田一也氏と、HJホールディングスコンテンツ制作部プロデューサーの岩崎広樹氏に聞いた。
岩崎氏 確かに大掛かりな内容ではありますが、ドラマ制作の第一線で活躍する日本テレビのスタッフとともに作れるということで、一発目から大きな作品に挑戦しました。
Huluが日本でサービスを開始してから、約3年半が経ちます。これまでは海外や日本国内でヒットした作品を配信してきたわけですが、ビデオオンデマンド(VOD)サービスが増えてくる中、ユーザーにどうやってHuluを選んでもらえるかを考えたときに、Huluでしか見られない面白い作品を提供することが魅力になると思いました。元々オリジナルコンテンツを作りたいという思いはずっと持っていたので、今回オリジナル連続ドラマを手がけました。
岩崎氏 日本テレビのドラマ制作者が中心となって制作にあたっており、Hulu側のスタッフも、打ち合わせからモノ作りまで一緒に作っている感じです。制作だけではなく、宣伝の施策なども一緒にやっています。
戸田氏 ドラマを作る意味では大きな違いはないですね。ただ地上波はスポンサーへの配慮が必要になりますが、Huluでは明確なスポンサーがいないので、地上波ではやりづらいことができるといった自由度があります。
岩崎氏 ただ、Huluとしてオリジナルドラマははじめての取り組みなので、いろいろなことを1つずつ決めながらやっている状態です。表現に関しても「ここまでいいかな」「これでも大丈夫かな」といったやりとりの中で、動画配信をフィールドとしたドラマ作りの基準を作っている状況ですね。
まっさらな状態から1つずつ作り上げている状態ですから緊張感はありますが、とても楽しいです。ただ、ユーザーを傷つけることは決してしてはいけませんから、その部分を守りつつ地上波にはできない表現を目指していきたいと思っています。
岩崎氏 ラストコップ自体は日本テレビ側が見つけてきたコンテンツで、現在Huluでもドイツのオリジナル版「DER LETZTE BULLE」を配信しています。その作品をリメイクしてオリジナルドラマとして配信する、日本テレビとHuluの武器を最大限に活用した企画になっています。
戸田氏 ドラマをリメイクするにあたっては、1985年から2015年まで30年間昏睡状態に陥った主人公が目覚めるという設定部分と、主人公と再婚した元の妻との人間関係などをベースに、個々のエピソードは新たに製作しています。失った30年間に対する悲哀がオリジナルではかなりでているのですが、その部分を踏襲しつつも喜劇に転嫁できるような日本版を目指しました。
今回30年間昏睡状態だった刑事を唐沢寿明さん、そのバディを窪田正孝さんに演じていただいています。刑事のバディものは日本でも多いジャンルですが、唐沢さんも窪田さんもアクションが素晴らしいので、そこは見どころだと思います。
最近テレビドラマでアクションを見る機会は少なくなっていると思いますが、唐沢さんは昭和の刑事という役どころなので、そこをフックにかなり派手なアクションを取り入れました。この自由奔放な雰囲気は最近の刑事ドラマにはない爽快感を感じてもらえると思います。
当時の刑事ドラマを見ていた人には懐かしく、今回はじめて見る人には新しく感じてもらえる派手さを出していきたいです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」