米国家安全保障局(NSA)による通話データへのアクセスが少なくとも当面は中止される可能性が高くなった。米上院は、議論を呼んでいるNSAの監視プログラムについて、重大な期日を目前にして妥協を見いだすことができなかった。
上院は米国時間5月23日、6月1日に失効する米国愛国者法関連条項の延長法案を否決した。愛国者法は、NSAによる現行の大規模な通話データの収集活動に法的正当性を与える役割を果たしてきた。NSAは、こうしたデータ収集活動はテロとの戦いに不可欠だと主張してきた。
上院は、改革法案である米国自由法も同日の審議で先に否決している。同法案は先に下院で可決され、米Obama政権も支持していた。この法案は情報収集の継続を認める一方で、憲法で規定されたプライバシー関連の権利保護と国家の安全保障を両立させることを目的とした新たな規制を盛り込んでいた。
NSAの監視プログラムをめぐり白熱する議論の応酬は、NSAの元契約職員だったEdward Snowden氏が同プログラムの詳細をジャーナリストに暴露して以来、2年にわたって繰り広げられてきた。米国自由法は、NSAが特別な秘密裁判所である米外国情報活動監視裁判所(FISC)から承認を得た上でデータ自体の大量収集と調査を実施する代わりに、NSAが電話会社から通話データを入手する前に、個々の事案に応じて裁判所命令を要請するよう義務付けている。批評家らは、新たな法的手続きは時間がかかり過ぎ、NSAによるテロ対策活動に妨げとなるとしていた。一方、法案の改革を支持する人々は、テロ攻撃の阻止において現行プログラムの有効性を主張する意見に異議を唱えるとともに、同改革法案は個人の権利の保障に役立つと指摘してきた。
上院はメモリアルデーの休会後、異例の日曜日の招集となる5月31日に審議が再開され、米国愛国者法の関連規定の延長について再び採決する予定だ。併せて、米国自由法についての審議も再開される可能性がある。ただし、延長には下院の承認が必要であり、6月1日の失効日までに下院が招集される予定はない。そのため、NSAによる通話データの収集活動は一時的に中断される可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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