ニューヨーク発--今はまだ、スマートウォッチが誰かの生活に不可欠なものだと言う人はいないだろう。だが、そうした状況を変える取り組みが始まった。
チップの設計を手がける英国のARMとUNICEF(国連児童基金)は米国時間5月19日、新たな複数年の提携により、世界で最も貧しい地域や遠隔地の一部で暮らす人々のために技術を開発することを共同で発表した。今回の提携による最初の取り組みとして、「Wearables for Good」(善意のウェアラブル)というコンテストを同日から開始するとともに、発展途上国の人々に向けた新しいウェアラブル端末を生み出すようデザイナーに呼び掛けている。
UNICEF Innovationの代表を務めるErica Kochi氏はニューヨーク科学アカデミーで開催されたイベントで、提携の狙いが「あれば便利なだけでなく、人々が必要とする」ウェアラブルを考え出すことにあると述べた。
UNICEF Innovationは、女性や児童を対象としたUNICEFの活動を促進するための技術に取り組む組織だ。UNICEF Innovationでは、火事発生の警告、健康診断の実施、手洗いなどの生活習慣の奨励のほか、妊娠中の母親と胎児のバイタルサインといった情報のリアルタイム追跡を可能にする、さまざまなウェアラブル端末をデザイナーが生み出してくれることを望んでいるとKochi氏は述べた。こうしたウェアラブルの多くは、主要なインフラや医療施設から遠く離れた難民キャンプや地域などで使用できるものだ。
同コンテストは、11月に、応募者の中から2名の入賞者を選定する予定だ。各入賞者には賞金1万5000ドルが授与され、ARMとデザイン会社Frogから専門的な指導が受けられる。
ARMは、デザインコンテストに加えて、UNICEFによる一部の試験プロジェクトを早期に軌道に乗せる取り組みを支援する計画であり、併せて数百万ドルの資金を提供し、自社の技術面でのノウハウや広範なテクノロジ業界とのコネクションを提供する意向だ。たとえば、ARMは、ブルンジでの電力供給、ザンビアでのHIVおよびAIDS治療、コソボでの雇用の創出といったUNICEF Innovationによる取り組みを支援する可能性がある。また、長期的には、この2つの組織で途上国における潜在的なビジネスチャンスを調査することも計画している。検討している分野には、輸送手段、教育、ウェアラブルなどがあり、こうした地域における投資をいっそう促進することを期待している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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