Sansanは5月12日、法人向けクラウド名刺管理サービスのオープン化事業構想を発表した。8月に予定している同サービスのAPI公開に向けてパートナープログラムの募集を開始するほか、先行パートナーとして約20社の製品との連携を今後進めていくという。
今回発表されたオープン化では、企業が保有しているSansanの名刺データベースを参照することができるWeb APIを公開。パートナー企業が提供するCRMやグループウェア、営業支援ツールといったビジネスツールと名刺データベースを連携させることにより、営業活動の生産性向上や顧客管理業務の効率化、ビジネス人脈の有効活用などの効果を期待することができるという。活用されないことが多い紙の名刺をクラウド上で管理・共有するという従来のSansanのサービスバリューに加え、外部サービスとの連携によって新たな名刺データの活用シーンを創出したい考えだ。
Sansan共同創業者の富岡圭氏は、年間100億枚もの名刺がビジネスパーソンの間で交換されている中、2015年にSansanの導入社数が3000社を突破するなど、紙の名刺をクラウド上でデータベース化することに対して関心が高まっている現状を説明。そのうえで、今後の展望として、企業の資産である名刺データを外部のビジネスツールと連携させることで業務の様々なシーンで活用し、業務効率を向上させることが重要であると今回のオープン化の狙いを語った。「名刺はデータ化することで企業活動の強固な基盤となる。今後はパートナープログラムに参画する企業と連携して、名刺データベースの様々な活用シーンを創出していきたい」(富岡氏)。
なおSansanは、このオープン化に伴うAPI公開に先立って、先行パートナーを発表。NTTコミュニケーションズ、サイボウズ、日本マイクロソフト、日本郵便、マクロミル、弥生、SAP、KDDIなど20社と連携し、同社の法人向け製品にAPIを連携させていくという。
先行パートナー企業の1社であるセールスフォース・ドットコム専務執行役員アライアンス本部長の保科実氏は、「企業の営業担当者が持ち帰る名刺をいかにして効率よくデータベースに取り込むかは大きな課題である」と指摘した上で、Sansanとの連携によって名刺情報を手入力する手間が省け、営業担当者が見込み顧客とのリレーションを行う上で大きな武器になると期待を寄せた。また、クラウドサービスのオープン化については、「クラウドの普及拡大によって、様々な強みを持つ企業がスピード感を持って価値を共創していく時代になった。これからは1対1のパートナーシップではなく、様々なパートナーが参画するエコシステムの構築が重要だ」と述べ、Sansanのオープン化戦略に賛同した。
また、日本郵便執行役員郵便・物流営業担当の津山克彦氏は、「取引先のデータベースを活用して手軽に年賀状などの季節の挨拶や様々な案内などを出すことができるツールは、実はあまりない。今後は日本郵便傘下のJPメディアダイレクトを通じて、こうしたニーズに応えるインフラを開発し、ビジネスシーンに役立つ郵便サービスを提供したい」と今後のSansanとの連携によるシナジーに期待を寄せた。
なお、募集するパートナープログラムは、自社製品へのAPI組み込みを行うプロダクトパートナーと、企業の社内システム構築などにAPIを活用するSIパートナーの2つに分かれており、それぞれ企業規模などの参加条件はなく無料でAPIを利用することができるとのこと。APIの公開は8月に予定しているが、それまでに先行パートナーからのフィードバックを踏まえた仕様策定を進めていくとしている。
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