ザッピングUIは、チャンネルをクリックすると、該当チャンネルのおすすめコンテンツの予告編が自動的に流れるユーザーインターフェースで、チャンネルを切り替えると放送されている番組が見られるテレビのような使い勝手を目指しました。
私自身サービスを使っていて、常にどこかに違和感を感じていたんですね。それは何かと考えると、選ぶことの面倒臭さなんだとあるとき思い当たりました。見たいコンテンツを探すときにエネルギーが必要だったのです。
そこで、映画なりドラマなりの映像コンテンツを見たときに、そのタイトルをどうやって選んだのか、あるいは出会い頭で見ているのかといった、視聴に至るまでの動向を調査しました。その結果「このコンテンツを見よう」と意識して見ている人はせいぜい4割弱で、それ以外の人たちは後からタイトルを確認したり、タイトルすら確認しないで見終わってしまったりしていることがわかりました。
確かに、映像作品は見て面白ければ見るし、つまらなければ別のコンテンツに切り替えてしまいますよね。そうした見方に今のVODサービスは寄り添っていない気がしました。そこで、各コンテンツを選ぶ時の判断基準を増やすため、コンテンツの予告編が次々に流れるザッピングUIを採用しました。
VODではサムネイルや文字での作品情報を提供するのが一般的ですが、読んだり探したりは意外とエネルギーを使います。現代は1日の情報量がすごく多いですし、皆さん何かといそがしい。ですから映像作品を見るときくらい面倒臭いことから逃れたいだろうと。リラックスするために作品を見ようとしているのに、その前に探して、選んで、いろいろやってくださいと言っていたわけです。
その時に映像が流れれば「これを見たい」と思うフックになりやすいと思うのです。ユーザーの方に選ぶ手間を省いて「これ、どうですか?」と提案できるようなサービスになりたいと考えたのが、ザッピングUIです。
もちろんコンテンツを選ぶことを楽しまれる方もいます。中には今日はコンテンツを探して楽しみたいけれど、毎日その行為を続けるのはつらいなと感じている人もいるかもしれない。そうした日常の行為に寄り添って使えるサービスを目指しました。
フィルムメタは、作品の内容を示すタグで、現在1つの作品に対して1000個程度のフィルムメタを付与しています。これは「フィルムアナリスト」と呼ばれるスタッフが、1つずつつけています。
1000個と聞くと多いと感じられるかもしれませんが、例えば同じ映画でも、男性と女性では見た感想が異なりますし、年齢や職業によっても違ってきます。ある人は人間関係に注目したかもしれないし、またある人は音楽に興味を持ったかもしれません。そう考えると1本の映画にはいろいろな要素が入っていて、その内容をきちんとユーザーに伝えるためにフィルムメタは非常に重要です。
こうして作品を多角的に捉えることで、より精度の高いレコメンドができるようになります。通常の「これを見た人はこの作品も見ています」的なレコメンドだけではおすすめできない、細かな共通点から別の作品をおすすめできるようになります。これにお客様の視聴履歴や年齢、性別などを掛け合わせることで、気持ちの良いレコメンドができるようになっています。
そうですね。見ていくと自分好みの作品をおすすめしてくれるようになります。ただタコツボのように、絞り込んでしまうだけのレコメンドでは意味がなくて、そこはとても気をつけた部分でもあります。好みの作品をつきつめていくと、見るものを狭めてしまうんですね。そこでdTVでは、好みと少し違うけれど、共通性がある変化球を提案できる「意外軸」という仕組みを取り入れています。
好きなのに、知らないから見ていない作品はものすごくたくさん存在していて、そうした発見ができるのはVODサービスの楽しみ方の1つです。dTVでは新しい作品との出会いをたくさん提案しています。こうしたレコメンド方法が作れたのも6年間この事業を続けてきた、私どもの強みだと思っています。
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