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LINE新社長、出澤氏の意気込み--「海外はこの1年が勝負」

藤井涼 (編集部)2015年03月31日 18時44分
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 LINEは3月31日、同社代表取締役 最高執行責任者 COOの出澤剛氏が、4月1日付で代表取締役社長 CEOに就任することを発表した。

 経営・事業展開のスピードを速めるために、1年前の2014年4月から“2トップ体制”を敷いていたLINE。2007年のNHN Japan時代から代表取締役社長を務めてきた森川亮氏はCEOとして経営や対外的なコミュニケーションを担当し、出澤氏がLINEをはじめとする事業全般の指揮を執ってきた。

 そして同年12月に、森川氏が退任を発表。出澤氏をトップとする新たな経営体制に移行することが明らかにされた。社長交代によりLINEはどう変わるのか。また2015年度の戦略は――4月1日付で新社長に就任する出澤氏に新体制への意気込みを聞いた。


4月1日付で代表取締役社長 CEOに就任する出澤剛氏

――先日、社内で森川氏の卒業イベントが開催されたそうですが、本人から何かアドバイスや言葉をもらったのでしょうか。

 意外とさらっとしていましたね。「頑張ってね」くらいの(笑)。それと以前から言われていたことですが、「LINEをとにかく大きく成長させて欲しい」と言われました。

――年始のインタビューの際にもお伺いしましたが、改めて森川氏の体制からどう変わるのでしょう。

 テスト期間も含めて2トップ体制で1年やってきましたので、基本線はそこまで変わりません。それは私たちが常々いっているユーザー視点で考えることです。ユーザーファースト、プロダクトファーストみたいなところはLINEのDNAですので、そこが変わることはありません。

 ただ、事業も幅広くなってきていますし、プレーヤーも強敵が多い。その中で我々が勝てる道というか武器となるのは「クオリティ」と「スピードの担保」です。非常に高いクオリティのサービスを速いスピードで提供する、そのサイクルをこれまで以上に速くしていくことだと思います。また、うまくいっていない事業があれば、きっちり撤退してリソースを最大限有効活用する必要もあります。

――新体制のスローガンやテーマはありますか。

 森川の時代にも特になかったですよね(笑)。LINEはあまりビジョンとかミッションを掲げて「こうだぞ」という会社ではないので。ただ、やはり森川からバトンを受けとって、LINEを次のステージにしっかりと成長させることだと思います。

 具体的には2つあります。1つは海外でトップシェアの国やユーザーをどんどん増やしていく方向性、そしてもう1つは2014年から進めているプラットフォーム化を成功させることです。ユーザーの皆さんが、自分が使っているサービスが生活を変えていると実感できるようにすることですね。この2軸でやっていきたいと考えています。

――フードデリバリー「LINE WOW」やタクシー配車「LINE TAXI」など、“生活領域”のサービスの売上げ比率はどれほどでしょう。

 開示はしていませんが、初動の手応えとしては想定よりも良いペースできています。あとは、それを裏側でつなぐハブとなる(決済サービスの)「LINE Pay」も大々的にプロモーションを始めています。各サービスとペイメントが交じり合った時に、本来のより大きいスケールのプラットフォームにできるのではないかと思います。

 LINE Payについては、(開発者向けクレジットカード決済の)ウェブペイをグループに加えましたし、ZOZOTOWNやSHOPLISTなど大手ECで採用いただいたことで使える場所も増えました。足元の土台はできたと思っているので、これからは大規模なプロモーションをやりながら、さらにユーザーや使える場所、提携する金融機関を増やしていくことになると思います。

――ゲーム事業についても聞かせてください。先日、任天堂がディー・エヌ・エーをパートナーに選んで、スマートフォンゲーム事業への参入を発表しました。正直、LINEも組みたかったのではないでしょうか。

 恐らく他社も含めて悔しい部分は当然あると思います。それだけ任天堂は皆にとっての原体験の会社ですから。ただ、まさに“ゲーム文化”を作ってきた会社が参入することで、いままで出てこなかったような素晴らしいタイトルが出てくると思います。また、これまでとは違うビジネスモデルも作っていくということを話されていたので、ユーザーにとって新しい遊び方も提案されるでしょう。ただ、やはりスマートフォンゲーム業界全体が盛り上がることは率直に喜ばしいですね。

――LINEではこれまで、コニーやブラウンといったLINEのIP(知的財産)キャラクターを横展開する形で数多くのゲームをリリースし、実績を作ってきました。同じくIPタイトルを多数抱えるという意味で、任天堂は脅威ではありませんか。

 パズドラにしても、モンストにしても1年以上、単体のゲームであれだけのユーザーを抱えて、新しいプラットフォームというか、非常に大きなビジネスを生んでいます。ですので、LINEもキャラがいればいいというものではありません。IPが強いにこしたことはありませんが、やはり複合的な要素で勝敗が決まっていくのだと思います。

――世界展開の進捗状況も教えて下さい。今後はどのようにして勝ち抜いていくのでしょう。

 成長率でいうと順調に成長しています。いま注力しているのは大きくいうとアジア、北米、南米の3エリアです。アジアでは伸び率の高い国が出てきていて、特にインドネシアは最もシェアが伸びています。アジアはスマートフォン普及率がようやく10%を超えてくる国もありますので、海外は今年1年が勝負だと思っています。

 他のメッセンジャーアプリとの競争力については、LINEはデザインや機能面を含めて完成度は最も高いと思います。またスタンプの文化は我々が作り出したものですし、(ユーザーが販売できる)クリエイターズスタンプみたいなものも提供しながら多様性も持たせていますので、他社より一歩、二歩、進んでいると思います。

 ローカライズも徹底してやっています。早い段階で現地の優秀な人材を雇用して彼らにかなりの権限を委譲しながら現地化を進めています。またデザインや機能も国によって変えています。そこは考え方として結構大きな差になってくると思っています。

――おなじみの質問になりますが上場については。

 以前からお話していますが、資金調達は1つの手段です。これから世界市場で戦ったり、プラットフォーム化を進める上で、より次のステージにいくために資金が必要になればIPOも検討するし、他の手段があればそちらを選ぶ。いまのところそれ以上は決まっていないですね。

――最後に新体制への意気込みをお願いします。

 繰り返しになりますが、LINEを次のステージに上げるということだと思います。そのために、グローバルで2000人を超える社員が経営チームからスタッフまで本当に頑張っています。メッセンジャーは、スマートフォンサービスの“台風の目”といえるものですので、その中で世界ナンバーワンを目指して、これからも経験したことのないチャレンジをしていくことになると思います。

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