ヤフーは3月31日、検索結果ページに表示される情報の削除について定めた基準の運用を開始した。基準は、同社が2014年11月に設置した「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」で検討してきたもので、インターネット上に自己のプライバシーに関する情報が掲載されていると感じる人から検索結果の非表示措置の申告を受けた場合の対応方針を示す。同社が削除基準を公にするのは初めて。
ヤフーは、被害申告者が非表示を求める情報について、その情報を公開しない被害申告者の法的利益とその情報を公表する理由との比較衡量を行う。個別の事案に応じて、被害申告者の属性(公職者か否か、成年か未成年かなど)、記載された情報、当該情報の社会的意義や関心の程度、当該情報の掲載時からの時の経過などを考慮する。
検索結果の表示内容自体から、リンク先ページの記載を見るまでもなく権利侵害が明白に認められる場合は、当該権利侵害記載部分について、検索キーワードを限定した上で非表示措置を講じる。
権利侵害が明白に認められる場合の具体例は、(1)特に理由なく一般人の氏名および住所や電話番号などが掲載されている場合、(2)特に理由なく一般人の氏名および家庭に関する詳細な情報が掲載されている場合、(3)一般人の氏名および秘匿の要請が強い情報(病歴など)に関する情報が掲載されている場合、(4)既に長期間経過した過去の軽微な犯罪に関する情報が掲載されている場合――といったものだ。
被害申告者からリンク先ページ管理者またはプロパイダに対して削除を命じる裁判所の判決(または決定)の提出を受けた場合には、原則として非表示措置を講じる。被害申告者からその判決(または決定)の提出がない場合でも、リンク先ページの記載から権利侵害の明白性ならびに当該侵害の重大性または非表示措置の緊急性があるとヤフーが認めた場合は、例外的に非表示措置を講じる。なお検索キーワードの限定はしないという。
具体的には、(1)特定人の生命、身体に対する具体的・現実的危険を生じさせうる情報が掲載されている場合、(2)第三者の閲覧を前提としていない私的な性的動画像が掲載されている場合。
ヤフー執行役員社長室長の別所直哉氏によれば、同社はこれまでも同様の申告に対して個別に対応してきた。今回の新基準はそれを明文化したものであり、ヤフーの対応が大きく変わるわけではないという。なお、これはヤフーの対応方針であって、これに反した場合に直ちにヤフーに法的責任が生じるものではない。
「表現の自由や知る権利とプライバシーの保護とのバランスをとり、慎重に判断する必要がある。どこに支点を持ってくるのかが重要」(別所氏)。
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