農業ICTの本格活用に規格やルールを標準化--産学連携コンソーシアムが策定へ

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 慶応義塾大学環境情報学部のSFC研究所が中心となって進めている「アグリプラットフォームコンソーシアム」は3月26日に発表会を行い、農業ICTの普及と農業分野におけるビッグデータ活用の規格標準化に向けたガイドラインの策定と農業情報流通プラットフォームの構築を推進すると発表した。

  • アグリプラットフォームコンソーシアムの関係者

 アグリプラットフォームコンソーシアムは、農業のICT活用が急速に加速する中で、複数の企業・団体がそれぞれ独自規格によるシステムの導入を進めているために、異なる規格のシステム間で情報連携が困難になっていること、農業に関する様々なデータの知的財産としての取り扱いが不明確なまま情報の蓄積していることなどの課題に対して、慶応大学を中心とする学術分野の知見とシステム開発会社など民間企業の知見を連携させて解決策を策定・提案していく目的で設立された。

  • 農林水産庁 農林水産審議官の鈴原寿朗氏

 情報を貯めて活用する仕組みの標準化と、情報を活用するための様々なルールを作ることで、農業分野の国際競争力の強化と食の安全性の向上を目指すのが狙いだ。この点について、農林水産庁 農林水産審議官の鈴原寿朗氏は、「昨今、農業のIT化が進んでいるが、その壁になるのは、(複数の事業者による)様々な規格の連携がうまくいかないこと。これからは横の連携を強めていくことが求められている。農業ITの普及やビッグデータ解析の標準化は、農業の生産性や品質の向上だけでなく新たな産業の創生が期待でき、海外市場との結びつきも強めることができる。スケールの大きな挑戦を目指して欲しい」と語っている。

 また、コンソーシアムでは、今後半年から1年後に農業IT産業のグランドデザインと、農業ICTの利活用、知財活用、農業に関する情報標準化のためのガイドラインを立案し、フィードバックを経て国に対して政策などを提案していくという。さらに、国際競争力の強化に向けた農業ITに関する政策の実現支援、国内の農業ICT基盤の整備を進めていく。

  • 慶応義塾大学環境情報学部の村井純教授

  • アグリプラットフォームコンソーシアムの活動内容

 コンソーシアムの代表を務める慶応大学の村井純教授は、プレゼンテーションの中で、「日本の農業サービスをどのように発展させていくかという課題に対して、このコンソーシアムで生み出したものを社会の発展のために機能させていく持続的な体制を産官学で作ることが重要だ。今ここで規格やルールを標準化して、農業ICTのプロセスを普及させることが将来の農業の発展に不可欠だ」とコメント。まずは、地域や事業者によって異なる農業用語の統一や、農業ICTシステムで蓄積・解析するデータの項目定義(フォーマット)の策定、事業者間の相互運用性、可搬性の検討(統一化)などについて、参画企業・研究機関などが知見を寄せ合って進めていくとしている。

 このコンソーシアムには、伊藤忠テクノソリューションズ、NECソリューションイノベータ、NTTデータといったシステムインテグレータ、農業用機器を製造するクボタとヤンマー、さらにはセールスフォース・ドットコム、日本マイクロソフト、日本IBM、富士通、NECといったベンダー企業など12社が参画。学術分野では東京農工大学、九州大学、北海道大学、理化学研究所などの研究者がアドバイザーとして参加する。

  • セールスフォース・ドットコムの佐々木 道代氏

 参画企業のひとつであるセールスフォース・ドットコムの佐々木 道代氏は、「セールスフォースのクラウド製品は家畜の個体管理や農作物の生産管理などにも活用されており、様々な外部ツールとどのように連携させて生産性を向上させるかが大きな課題だ。このような(規格標準化の)動きは歓迎したい」とコメントしている。

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