ネット印刷サービス「ラクスル」を運営するラクスルは3月3日、事業構想説明会を開催し、集客支援プラットフォーム「チラシラクスル」や、印刷前にデザインを比較できる「ラクスルデザインラボ」、ウェブ完結型ポスティング「ラクスルポスト」などの新サービスを発表した。
ラクスルは、全国の印刷会社をネットワーク化し、各社の非稼働時間を活用することで、低価格な印刷物を顧客に提供するサービス。受注した印刷物のサイズ、種類、納期に応じて最適な印刷会社に発注して印刷する仕組みを採用している。この1年間でユーザー数は約5倍に拡大し10万を超えたという。2月17日には、オプトやリンクアンドモチベーションなどから総額40億円の資金を調達した。
新たに開始したチラシラクスルは、中小企業や個人商店のチラシによる集客を支援するプラットフォーム。印刷の前行程であるデザインや印刷、さらに印刷の後行程である折り込みチラシの配布といった一連のサービスをワンストップで提供する。これにより、中小企業や個人商店の“オフライン”の集客や販促を支援するとしている。
チラシラクスルは、大きく(1)デザイン、(2)印刷、(3)配布の3つで構成される。デザインでは新サービスのラクスルデザインラボを活用する。リアルワールドのクラウドソーシングサービス「CROWD」と連携し、デザインスキルを持つクラウドワーカーが顧客の要望に合わせて複数のデザインを制作。それらのデザインを約890万人のクラウドワーカーがネット上で評価する。
これにより、顧客はワーカーの地域や年代などの属性別に評価結果を見ることができるため、印刷前にデザインの効果検証や比較をした上で、最も気に入ったデザインを選んで印刷できるようになる。価格もデザイン制作と比較を合わせて1万円から依頼できるという。デザインが完成したら、ラクスルの印刷サービスで低価格かつ高品質なチラシを印刷できる。
チラシの配布には、新サービスのラクスルポストを利用する。ウェブでチラシの配布を依頼できるサービスで、価格は印刷・ポスティング込みで1万円から。たとえばチラシ3000部なら2万5000円、1万部なら7万円程度になるという。地図画面を見ながら配布したい地域を丁町目単位で選ぶことが可能で、配布希望日と部数を入力するだけですぐに金額を把握できるという。
同日の発表会で登壇したラクスル代表取締役の松本恭攝氏は、ラクスルの顧客の9割が中小企業で、そのうちの8割がチラシやフライヤーなどの印刷を依頼していることから、結果的に印刷を通じて多くの中小企業の集客を支援していたと説明する。
その一方で、人材不足からデザインのノウハウがなかったり、販路の拡大に悩んでいたりする企業が多いことから、集客に特化したチラシラクスルを提供することで「中小企業の商売に革命を起こしたい」(松本氏)と意気込んだ。
今後は、行政や商工会議所と連携して日本中の商店街を支援するほか、地方の印刷会社とも提携を拡大して、現地での雇用を生み出していきたい考えだ。さらに、ネット印刷という競合の少ない領域ならではの強みを生かして海外展開も進めたいとしている。松本氏は「早いタイミングで現在の10倍の100万ユーザーを獲得したい」と目標を語った。
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